トヨタ「パッソ」、16年刷新する次期型の全貌 基本設計を転用する新モデルの観測も
3代目に当たる次期パッソの話については続きがある。2016年秋に次期パッソをベースとした後席スライドドアを採用した、背の高いMPV(2列シートの多目的車)の新型モデルが登場するという話もまことしやかにささやかれている。
ハイブリッドユニットの展開は?
搭載エンジンは3代目パッソに搭載される予定の1000ccタイプが有力ながら、現行パッソに搭載されている1300ccタイプなども考えられる。気になるのは、スズキ「ソリオ」のようにハイブリッドユニットを積極展開させるかだ。今のところ、そうした詳細情報は入っていないが、開発がダイハツということや、トヨタのTHS(ハイブリッドユニット)のようなストロングハイブリッドを搭載しても、割高になって売りにくくなるとみられ、パッソベースのMPVにはハイブリッドタイプの採用はないものと考えてよさそうだ。
このカテゴリーではスズキがすでにソリオをラインナップして先行している。そのソリオの販売動向を見てみると、2015年1~11月の月間平均販売台数が約3160台と大健闘しており、8月にフルモデルチェンジして以降はパッソを上回る実績を残している。
パッソベースのMPVも当然ながら、ダイハツからのOEMとなる。つまりダイハツ版の「ソリオ」を市場投入してスズキだけに「おいしい思いはさせない」という思惑も、トヨタグループにはあるのかもしれない。
現在トヨタブランドでは、ソリオに近いキャラクターモデルとして、「ポルテ」と「スペイド」をラインナップしている。こちらは助手席側に大型スライドドアを採用しているのが特徴だ。
当初は現役子育てファミリーをターゲットにしていたのだが、「スライドドアは乗り降りがしやすい」ということで、リタイア層の購入も目立ち、手堅い販売を続けている。ただし、助手席側に大型スライドドアを採用していることなどもあり、車両価格が高めなのがネックとなっている。
ソリオも現役子育てファミリーだけなく、リタイア層の支持も高いのが人気の背景にあるのは間違いない。となればトヨタ/ダイハツ連合が「二番煎じ」として、似たようなモデルを市場投入しても、ターゲットユーザーの裾野が広いので、十分な販売実績が期待できるのだ。
一方、海外メーカーのパッソクラスのコンパクトカーは、走行安定性能を意識して、全幅が広めとなっており、日本国内でいうところの3ナンバーサイズとなるが、日本国内ではこのクラスは全長が1700mmを超えない5ナンバーサイズが必須要件。さらにコンパクトMPVでスライドドアを採用するモデルはかなり少なく、ソリオのようなキャラクターのモデルは日本専売モデルと言っても過言ではない。
となると国内シェア50%を持ち、圧倒的な販売力を持つトヨタグループや、コストダウンが巧みなスズキ以外のメーカーはなかなか自力開発では手を出せないカテゴリーともいえる。
パッソベースの新型コンパクトMPVはまったくの新しい「ブランニューモデル」なので、トヨタ系全販売チャンネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)での併売になりそうだ。2016年後半から始まるであろう、圧倒的な販売力をバックにトヨタ&ダイハツ連合のソリオへの販売攻勢とこれに対抗するスズキのバトルは、その時期は消費増税前の駆け込み需要とも被るので、かなり見ものとなりそうだ。
ここ数年一部車種を除けば、軽自動車の陰に隠れ精彩を欠いていたコンパクトハッチバッククラスだが、特に2017年4月の消費再増税がチラつき出す2016年後半以降は、新たな競合環境による激戦が予想される。
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