「4代目プリウス」絶対王者に漂う3つの不安

爆発的ヒットの3代目を超えられるか

4代目「プリウス」のイメージカラーは赤。先進的なデザインが映える(撮影:尾形 文繁)

初代からの流れを引き継ぐ斬新な内外装デザイン、先進的な装備、そして最高で40km/L(ガソリン1リットル当たりの走行距離、JC08モード、以下すべて同じ)という世界トップクラスの燃費性能――。トヨタ自動車が12月9日に予定している4代目「プリウス」の国内発売を控えて、販売現場の熱気が高まっている。

プリウスはいうまでもなく、エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド車(HV)の先駆けだ。高級車ブランド「レクサス」を除くトヨタの国内販売4系列(トヨタ店、カローラ店、ネッツ店、トヨペット店)のすべてが取り扱っており、大ヒット車種でコンパクトHVの「アクア」と並び、車名別販売ランキングの上位常連で、今やトヨタの国内販売を支えるドル箱。「絶対王者」といってもいいだろう。

2009年に登場した現行3代目プリウスは派生モデルでワゴンタイプの「プリウスα(アルファ)」(5、7人乗り)を含めてピーク時には年間平均月販2万台を軽く超え、モデル末期となった最近でも同1万台以上のペースという爆発的ヒットとなった。3代目の32.6km/Lから2割超の燃費性能を高めることをはじめとした正常進化を果たす4代目も、高水準な販売が期待されている。

4代目が世界で初披露されたのは9月8日のアメリカ・ラスベガス。その後、同15日にドイツで開幕したフランクフルトモーターショーへの出展をもって欧州で一般公開された。日本では10月13日に報道関係者向けに披露されたものの、日本を含めたアジアユーザー向けの初の一般公開は、10月29日から開幕する東京モーターショー(東京ビッグサイト)を待っている状況だ。

12月発売に向けた事前受注活動が進む

それでも日本全国のトヨタ系販売店には、すでに正式受注に向けた予約が多数入っているようだ。トヨタは9月、販売現場に4代目に関する詳細の情報が記載されたスタッフマニュアルを配布。セールスマンはそこに記載されている内容を、3代目以前のプリウスユーザーを中心とした得意先に知らせつつ、事前受注活動を進めている。

通常、正式発売前のこうしたスタッフマニュアルには、情報流出対策として新型車の外観写真はシルエット化されることが少なくない。今年、トヨタがフルモデルチェンジした「シエンタ」や「アルファード」などがそうだ。ところが、4代目のスタッフマニュアルについては鮮明な外観写真が掲載されている。「シルエットだけだとお客様もなかなか前向きに検討できないという面があり、メーカーの気合いを感じる」と現場のセールスマンは語る。

ただ、10月下旬になって一部の販売店では事前受注の勢いが若干鈍ってきたという声も聞かれる。トヨタは是が非でもスタートダッシュを成功させるだろうが、長い目で見ると3つの不安材料がある。

次ページ「エコカー=HV」でなくなった
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 岡本幸一郎の自動車情報発信局
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
銀行 地殻変動<br>先で待つ「不良債権地獄」の恐怖

コロナ危機を受け、銀行は政府の支援の下、積極的に「傘」を差し出し、融資をしています。しかし融資先には「危ない企業」も含まれ、下手をすれば不良債権によって屋台骨を揺るがしかねません。自ら大きく変わり始めた銀行の近未来を占います。