「4代目プリウス」絶対王者に漂う3つの不安 爆発的ヒットの3代目を超えられるか
一つめの不安材料は、3代目が登場した2009年と現在で異なってきている市場環境。3代目デビュー時点ではホンダのHV「インサイト」が唯一無二の競合車種だったが、今は「エコカー」の選択肢が増え、プリウスのライバルが多様化している。
3代目(αなど含む)の年間販売推移を振り返ってみよう。2011年に東日本大震災の発生によって約25万台まで減る場面はあったものの、前後の2010年、2012年はそれぞれ30万台を超えていた。
一方、2013年からは下降線をたどっている。これは3代目の新車効果が薄れてきた側面もあるが、2012年がエコカー全体にとっても、ある意味ターニングポイントの年であったことも見逃せない。2012年2月にマツダが新型SUV(スポーツ多目的車)として「CX-5」を投入。「SKYACTIV-D」で知られるクリーンディーゼルエンジンを初搭載し、それが見事に大ヒットしたことだ。
クリーンディーゼルがエコカーとして台頭
かつてのディーゼルエンジンはNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)が相対的に多く含まれており、大気汚染の原因の一つと厳しく批判された。石原慎太郎・元東京都知事による「ディーゼル車No作戦」を覚えている人も多いだろう。
その後、規制強化に伴って、日本の乗用車からはディーゼルエンジン搭載車が一時なくなり、「ディーゼル=トラックやバスのエンジン」という図式になった。
一方で、欧州を中心に海外ではさまざまな技術改良によって、厳しい排ガス規制をクリアできるディーゼルエンジンが登場。これがいわゆるクリーンディーゼルエンジンで、マツダが日系メーカーとしては久々に乗用車でディーゼルエンジンを復活させた。
ディーゼルエンジンはパワフルな特性ながら価格の安い軽油を燃料に使い、燃費性能も高い。「エコカーならハイブリッド」というイメージが植え付けられていた日本のユーザーの認識がここで転換した。
現状はさらに選択肢が広がっている。マツダはCX-5以外に「アテンザ」「アクセラ」「デミオ」「CX-3」など、クリーンディーゼル車のラインナップを充実しており、プリウスだけでなくそれ以外のトヨタのハイブリッド車との比較購入検討も目立ってきている。
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