「4代目プリウス」絶対王者に漂う3つの不安 爆発的ヒットの3代目を超えられるか

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2つめの不安要素は、価格戦略だ。本稿執筆時点では明らかにされていないが、4代目は価格設定次第では販売面に悪影響を与えかねない。

というのも、3代目が登場した当初の車両本体価格は最安で205万円台。実は当初は240万~250万円ぐらいが想定されていたという話もあった。ところが、3代目に先行したホンダ「インサイト」が最安で189万円(車両本体)で登場。その販売が好調だったのを受けて、トヨタが3代目を予定よりも割安な価格設定で発売したという話がある。

価格は「値上げされる」との観測だが…

その「割安感」が3代目の大ヒットを支えた側面は確かにある。とはいえ、トヨタにとって採算面できつかったのは想像に難くない。このため、「4代目は3代目よりも適正価格を目指す方針で値上げされる。その幅も結構大きいだろう」の観測がある。どう上げるかという価格戦略を誤れば、ユーザーから見て魅力が下がってしまうかもしれない。

クラウンコンフォートが生産終了となり、その後継としてLPガスハイブリッドエンジンを搭載する、JPNタクシーコンセプトベースのタクシー専用車(写真)が登場予定となっている

最後の不安要素は、メーカーにとっての販売台数の確保という観点で見逃せない法人向けの販売だ。気になるのは2代目のころから目立ってきている「プリウスタクシー」。読者の皆さんも3代目のプリウスタクシーはプリウスαを含めて、街中で見掛けることが多くなったという印象を持っているだろうが、4代目は事情が違ってくるかもしれない。

トヨタは2013年開催の第43回東京モーターショーで、次世代タクシー専用車両として「JPNタクシーコンセプト」というモデルを出品した。国のユニバーサルデザインタクシー要項にも適合したMPV(多目的車)風スタイルを採用しており、市販モデルにはタクシー事業者が熱望していた、LPガスエンジンをベースにしたハイブリッドユニットが搭載されることになっている。開発段階の搭載予定エンジンを搭載した、カローラアクシオベースの先行試作車がデータ収集を兼ねて、日本各地の主要都市で実際にタクシー車両として営業走行している。

現在、トヨタが主にタクシー用途として販売している「クラウンコンフォート」が、2017年に生産終了する予定となっている。このタイミングでJPNタクシーコンセプトが後継車種として市場投入予定だったが、現状ではすでにタクシー事業者への内覧会も行なっているようなので、予定が早まり2016年には市場投入されるのではないかという話も出ている。

LPガスハイブリッドユニットを搭載するJPNタクシーコンセプトが登場すると、国の方針もあり、最低でも一定規模以上のタクシー事業者は、セダンタイプのタクシー車両が実質的に使えなくなるだろう。そもそもタクシー専用もしくは、LPガスエンジンの設定があるような、タクシー車両ベース需要を主とするセダンはなくなる。今の調子で4代目プリウスがタクシーとして活躍することは期待できなさそうだ。

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