「4代目プリウス」絶対王者に漂う3つの不安 爆発的ヒットの3代目を超えられるか
さらに欧州プレミアムブランド系の輸入クリーンディーゼル車のラインナップは増える一方だ。いまやBMW「3シリーズ」ではクリーンディーゼル車が販売の主力となっている。フォルクスワーゲン(VW)の世界的なスキャンダルでディーゼルエンジンのイメージはダウンしているものの、日本国内では直接的な問題は発生していないので、その影響は限定的なものになると考えられる。
ダウンサイジングターボの欧州車も強敵に
「ダウンサイジングターボエンジン」も新しいエコカーの潮流となった。エンジンの排気量を下げて小型化しつつも、本来は捨てるだけの排ガスを活用して出力に転換する過給器(ターボチャージャー)を付けてパワーを補い、性能を落とさずに低燃費を実現するやり方である。
これも欧州プレミアムブランドから生まれ、日本に本格的に入ってきたのは2013年。メルセデス・ベンツ「Aクラス」、ボルボ「V40」、フォルクスワーゲン「ゴルフⅦ」などの小型車に搭載され、日本でデビューした。これらのモデルはエコカー減税の対象車になった。
欧州プレミアムブランドのクリーンディーゼルやダウンサイジングターボのモデルは装備も充実し、かつてよりも手が届きやすい価格帯に設定され、今後も人気は高まっていきそうだ。可処分所得の高いユーザーも目立っていたプリウスにとっては、このようなトレンドは4代目販促の脅威になる。
実際、3代目から欧州プレミアムブランドのダウンサイジングターボモデルに買い替えたユーザーが少なくないという話は、トヨタ販売現場などから伝わってくる。新車購入から最初の車検を迎えるのは3年。3代目をデビュー直後に購入したユーザーの中には、ちょうど初回車検のタイミングに、こうしたモデルの投入がぶつかった。「燃費重視で走りの楽しみに欠ける」「質感がいまひとつ」と3代目に不満に思っていたユーザーが流れたのだ。欧州勢にとってはタイミングがよかったともいえる。
トヨタの新車ラインナップを見ても、HVのバリエーションは大きく広がり、HV=プリウスという構図でなくなっているという側面もある。世界的なダウンサイジングの流れを受けて、プリウスからアクアへ買い替えるトヨタユーザーの動きも目立ってきている。その意味では、実はアクアも4代目の「内なる敵」だ。
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