“100年に1度”の津波でも対応できない現実--震災が突きつけた、日本の課題《4》/吉田典史・ジャーナリスト

都司氏は「(起こると巨大な被害が出る)津波と原発は、“1000年に1度の災害”が来ることを踏まえ、対策を練るべき」と説くが、静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発がある場所にも疑問を呈する。東海地震の想定震源域の中にあり、しかもこの地点は、浅い海底が外洋に突き出すように広がっており、津波のエネルギーが集中しやすいと指摘する。

都司氏は、かねてから古文書や伝承などを調べ、明応東海地震(1498年)を調査してきた。その結果、浜岡原発のある場所では、遡上(そじょう)高(内陸へ駆け上がる津波の高さ)15~20メートルの津波が押し寄せる可能性があることがわかったという。中部電力が津波対策の根拠としている最大想定遡上高10メートルに比べると、1・5~2倍の高さとなる。

都司氏は、中央構造線直上にある愛媛県の伊方原発の立地にも疑問を呈し、現地で講演などをしている。中央構造線は日本最大の活断層だ。筆者がその理由を問うと、こう答えた。

「東北の被災地の高台移転と同じことがいえるが、今が安全であればそれでいい、と問題の本質を私たちは覆い隠してきたのだと思う。とりあえずは、今年を無事に終えればそれでよし、の繰り返しで議論するべきことを先送りしてきたのではないだろうか。私も今回の震災前に、被災地の高台移転などはもっと強く言うべきだったと思っている」

今後も全国を訪ね歩く、地道な調査研究を続けていくという。


極めて危険な浜岡、伊方両原発の立地

※写真、資料はいずれも都司氏提供

よしだ・のりふみ
人事・労務分野を中心に取材・執筆を続ける。著書に『あの日、「負け組社員」になった…』(ダイヤモンド社)、『いますぐ、「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)、『震災死 生き証人たちの真実の告白』(ダイヤモンド社)など。

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