経営トップの通信簿、あの人への株主の評価 株主総会での賛成票比率が下がった企業とは?
賛成率の分母になっているのは、あくまで議決権を行使した株主の有する議決権数である。総議決権数に対する賛成の割合は、ストリンガー氏が4割強、渡部氏は4割弱でしかない。
両者の選任に会社法上で違法性はない。とはいえ、株主の信任を得ることができていないトップの権力基盤は脆弱と言わざるをえない。
7年間CEOとしてソニーを率いたストリンガー氏は、4期連続最終赤字でCEOを退いたものの12年以降も取締役に残る。6月27日の株主総会では「1兆円の赤字を積み上げたストリンガーに(取締役)会議長は務まらない。(取締役選任に)反対」「(取締役)再任なんて許されない」と多くの個人株主が不満を表明した。その不満は議決権の行使に反映されている。
同日の野村ホールディングスの総会では、インサイダー情報漏洩問題や役員報酬、株価低迷に対する質問はあったものの、直接的に経営責任を問う声は上がらなかった。が、トップへも不信感は広がっていた。
ソニーのほか、業績不振を招いたにもかかわらず取締役として残るパナソニック、シャープの前トップは予想どおり賛成率を落とした。経営危機のルネサスエレクトロニクス、上場来初の最終赤字となった任天堂もトップの賛成率が低下した。
一方、最高純益を連続で更新した日立製作所の中西宏明社長は賛成率が上がった。日立は社外取締役を大幅増員したことも評価を高めた。
ただ、赤字幅が拡大したNECで賛成率が上昇。逆に商社は業績好調でも賛成率が低下するなど、業績と賛成率が連動しないケースもある。
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