日本人の「プレゼンの常識」は間違いだらけだ 滑舌のよさや美しい声は枝葉末節

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プレゼンにとって重要なのはモノトーンにならず、変化をつけることだが、それをジェスチャーでつけるか、声でつけるか、はたまた、メッセージでアクセントを入れるか、など、見た目や印象、得手・不得手など、人それぞれ、最適なスタイルは変わってくる。まるで、洋服のように、その人に合ったスタイルがある。似合わないファッションは悲劇的だ。

日本人の常識③ プレゼンは才能だから、うまくなくても仕方ない

「プレゼンが上手い」と世間から思われている経営者がいる。本人もそう思っているらしく、全く練習をしないのだそうだ。確かに、流ちょうだが、いつも、メッセージが心に残らない。ただ言葉だけが、トイレのように下水道に流れていく感じだ。度胸もあるし、ステージも怖くない。そういう人に限って、練習をしない。

よいプレゼンにとって練習は命

プレゼンにとって、練習は命だ。あのスティーブ・ジョブズもジェフ・ベゾスも、プレゼン前は何日もかけて何十回、何百回の練習をし、身体にすべてのセリフと動作をしみこませた。その気合はまるで舞台に欠けるアクターそのもの。それぐらいに、観客を楽しませよう、驚かせよう、興奮を分かち合おう、という意識が強かった。

筆者もアクティングスクールで、セリフが覚えられなくて、本当に苦労したが、そんな時、クラスメートの俳優の卵が何度も何度も練習すれば、「筋肉反射のように、自然に口の周りの筋肉が動いてくるんだよ」と教えてくれた。

まさに、筋肉反射するぐらいにプレゼンを体に刻み付ける。これは、なかなかハードルが高いが、「ドジでのろまな亀」が、ウサギに負けないようにするなら、これしか方法はない。

最後に、3つの黄金律をまとめておこう。

①プレゼンはヘタウマで攻めろ

②自分に似合うスタイルを見つけよう

③一に練習、二に練習、三、四はなくて五に練習。

次回の「コミュニケーション放浪記」も、引き続き、プレゼンの極意について解説をしたい。泣ける「ヘタウマプレゼン」の実例もご紹介するので、お楽しみに!

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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