就職面接では「気持ちの伝わる声」が重要だ 大学3年生が今この時期にやるべきこと<4>

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面接で判断されるのは、「伝えている内容」だけでなく、内容に込められた「気持ちや想い」でもあるのです。人は、経済合理的な「勘定」で動くだけでなく、「感情」で動く生き物。そのため、今から準備すべきは、対面や電話でいかに相手の気持ちをくみ取りながらコミュニケーションをとることができるか、ということです。

もし、「声」に自信を持てない場合には、今から「ボイストレーニング」を開始したり、「声」によって、明るさ、元気良さ、力強さを相手に伝えられるような取り組みを開始したりすることが大切です。

工夫と技術で変わる「伝え方」

『伝え方が9割』という書籍が、続編を合わせると発売3年で70万部以上売れている大ベストセラーになっています。この本に書かれている内容はタイトル通り、同じ内容を伝えるにしても、「表現内容」を変えるだけで効果が全く変わるということです。同書によると、人に伝わりやすい(心に残る、その気になる)伝え方には、「法則」があるということです。

実際に、私は今年この書籍をテキストに、30人の学生に伝え方の工夫に関するグループワークを行いました。その結果、同じ内容を伝えるのでも、例えば数字を入れたり、以前とのギャップを伝えたり、自分の体での反応を伝えたり、また大切なことを話す前に「前置き」を言うことによって伝わり方が随分変わるなどといった経験をしてもらいました。

こうした「伝え方」のトレーニングはこれまでの中高・大学の教育ではほとんど行ったことがないことや、実際に対面でのコミュニケーションが減っており、そもそも「自分の伝えたい事が伝わったり、伝わらなかったり」という経験が少ないために、上達することの素晴らしさを感じにくいことが、背景にあったようです。

しかし、意識して「伝え方」を変えると効果はてきめんに表れます。実際に、面接時に「伝え方」を変えたことにより、面談・面接者とのコミュニケーションがスムーズになったといった受講者からの声を、たくさんもらいました。

「自分の意図したことに周囲の人々を巻き込み、実際に行動に移してもらう」ことは、仕事をするうえで欠かせません。そのためにも、面接まで時間があるうちに、是非とも「伝え方」の技術向上に取り組んでもらうことが大切です。
 

廣瀬 泰幸 オールウェイズ代表取締役

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ひろせ やすゆき / Yasuyuki Hirose

岐阜県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートに入社。15年の勤務期間中に大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500人の採用と人材育成を行う。2003年、有限会社ヒロウェイ設立。2004年より、株式会社リンクアンドモチベーションの講師として、主として大企業の1万人を超える社員に教育研修を実施。2010年、株式会社オールウェイズ設立。以降、1000人を超える学生に就活コーチングを実施。twitterアカウントは@tender_coach

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