銀行との「間違った付き合い」が会社を滅ぼす 有利な条件で取引する手はいくらでもある

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社長が無知だと、担保や個人保証は、いつまでもついてまわります。ですが、無知をあらため、戦略的に交渉を進めれば、個人保証や抵当権を外すことができるのです。私が指導して個人保証や抵当権を外した会社は100社を超えています。

無担保・無保証を実現する3点セットとは

私の会社は現在、無担保・無保証でおカネを借りていますが、それは銀行に信用してもらえるように、「3点セット」を提供して情報開示をしているからです。それは以下のようなものです。

3点セットその1:経営計画書

会社のルールと目指すべき数字を明文化して、1冊の手帳にまとめてあります。銀行にも配布しているので、支店は稟議を上げる際、あらためて資料を集める必要がありません。

3点セットその2:経営計画発表会

当社の期首に「経営計画発表会」を実施し、今期1年間の方針を発表します。銀行の支店長や法人営業部長を招待し、計画に嘘がないことをご自身の目で確かめていただきます。

3点セットその3:銀行訪問

定期的に(3カ月に一度)銀行を訪れ、当社の現状(売上・経費・利益・今後の事業展開など)について報告しています。嘘をつかず、いいことも悪いことも包み隠さない。定期報告こそ、銀行の信頼を得る最良の仕組みです。

当社の場合は、15億円以上のおカネを借りながら、定期預金をはじめとして担保物件をひとつも差し出していません。私の個人保証もせずに、すべて長期でおカネを借りています。それができるのは、3点セットを差し出して、「透明性」を高めているからです。

拙著『99%の社長が知らない銀行とお金の話』(あさ出版)でも紹介しているように、何があっても会社を潰さない銀行との付き合い方、おカネに対する考え方は、経営者層ではないビジネスパーソンでも押さえておきたいものです。知っているかいないかで、天国と地獄ほどの差がつくかもしれないのです。

小山 昇 武蔵野 社長

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こやま のぼる / Noboru Koyama

1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催している。1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年、2010年には「日本経営品質賞」を受賞している。著書多数。

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