不要PCに金脈探る「宅配リサイクル」の正体 あなたの家にもレアメタルが眠っている
店頭持ち込み不要、宅急便で送るだけ
リネットが手掛けるのは、不要になった小型家電の引き取り。特徴はインターネットで受け付け、提携先である佐川急便の宅配ネットワークを使って、希望する日時に自宅へ訪問して引き取り、国が認定する小型家電リサイクル工場に運んで処分する仕組みだ。
2014年7月からスタートしている。不要な小型家電は、自宅にある段ボール箱か、オプション(398円)で用意する段ボール箱に詰めれば回収の対象となる。素人には面倒なパソコンデータの消去も専用ソフトを無料で提供しているほか、有料オプション(3000円)で代行するサービスなども用意している。
小型家電リサイクルの認定業者は全国に50社弱ながら、リネットだけが国が認定する小型家電リサイクル業者として唯一、日本全国を活動地域にしている。小型家電リサイクル法で回収の責任が定められている各地の自治体と提携しており、年末までに100に上る見込みの提携自治体が行政サービスのひとつとして、リネットの小型家電引き取りをメニューにしている。
リネットに限らないが、小型家電リサイクル業者は不要になったパソコンの回収を重視している。パソコンには基板などの主要な部品に金や銀、銅、パラジウム、タンタル、ネオジム、ジスプロシウムなどのレアメタル(希少金属)が、相対的にほかの小型家電よりも多く含まれている。パソコン一つひとつに含まれるレアメタルの量はわずかでも、たくさんの不要パソコンを集めると一定以上のレアメタルが確保でき、資源としての再販価値を持つからだ。
少し前のデータとなるが2012年4月に経済産業省が発表した「消費者アンケートによる使用済製品の排出・退蔵実態」によれば、調査対象者の46%が自宅にパソコンを眠らせたまま放置していた。個人情報が洩れることや、廃棄の手続きが面倒だということなどが主な理由だ。
小型家電リサイクルが進んでいないことからも、この状況は今もあまり変わっていないだろう。こうした不要ながら処分されずパソコンに眠ったままのレアメタルは、「資源の少ない日本にとって貴重な資源。こうした都市鉱山を活用していかなければならない」とリネットジャパンの黒田武志社長は言う。