【産業天気図・建設機械】円安メリット剥落や米国経済停滞の影響受けるが、欧州や新興国向けなお好調、「晴れ」は維持

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建設機械業界は、2007年度後半も全般的には好調で好天が続いている。来08年度は、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で米国市場が続落となりそうだが、欧州、中東に加え中国やロシアなどBRICsを中心とした市場がカバーして、全体ではプラス成長を維持しそうだ。世界的な資源高はなお継続しそうで、高単価の鉱山機械の需要も旺盛だ。
 ただし、07年度後半の天気見通しは、前回(9月時点)の「快晴」から「晴れ」に変更し、08年度は前回通り「晴れ」とする。理由は以下の通りだ。米国経済の落ち込みによって、1)ドル安(円高)による為替メリットの剥落、2)一部過熱気味の新興国経済も連鎖的に影響を受け、結果として日本メーカーも受注減の影響を被るリスクが徐々に高まる、といった2点が懸念材料として浮上しつつあるからだ。
 すでに建機メーカーの業界団体である日本建設機械工業会は、8月下旬に今年度の建設機械出荷金額(国内生産分、補給部品除く)予想を2兆3504億円(前年度比12.8%増)に上方済みだ。同工業会では、08年度についても2兆5373億円と前年度比8%を変えていない。
 主要建機メーカー各社も、この10月に発表した07年9月中間期決算に早々と今期2度目の業績予想の上方修正を行ったところも少なくない。国内首位で世界2位のコマツ<6301>は、7月末に増額した通期営業利益予想3110億円から3250億円に再増額。期初の2870億円からは480億円の増額となる。また、国内2位で世界3位グループの日立建機<6305>も、同じく通期営業益予想960億円を1010億円に再増額した(期初予想比では110億円の増額)。
 海外が成長のドライバーとなっている建機各社にとって、北米市場がサブプライム問題の長期化で縮減するのは痛い。中堅メーカーの一部には影響を受けるところも出てきている。だが、例えば最大手のコマツにとってはほぼ織り込み済みの話だ。同社の07年9月中間期の主力の建設・鉱山機械部門を見ると、北米向けの売り上げは2ケタ減。日本を含む全地域に占める割合も、17.2%(前年同期23.9%)と落ち込んだ。だが、欧州やロシア、中国など他の地域の旺盛な需要で埋め、高成長を維持し強さが際だつ。他のメーカーについては、新興国地域への販売網構築など、食い込み状況如何で成長力に差がつきつつある。
 各社にとって、当面のリスクはやはり為替の動向だ。今期は期中平均で1ドル=115円前後、1ユーロ=155~160円を想定している企業が多い。ただ11月末に発表された07年10月の建機出荷金額統計では、外需が前年同月比で29.2%増となるなど、輸出の勢いは今のところ衰えていない。新興国では壊れにくく燃費も良い日本の建機は人気が高く、価格転嫁も先進国に比べむしろ容易なため、110円台を若干割る程度の円高なら十分対応できそうだ。また、気になる中国の需要も、少なくとも08年8月開催の北京オリンピック前後までは需要の伸びが止まる兆しはない。もし、需要が一時的に減ったとしても、新興国のインフラ需要は旺盛だ。長い目で見れば、各社の業績は増勢が続くだろう。
【福井 純記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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