ビジネスホテル沸騰、熱気はいつまで持つか 訪日外国人客で稼働率急上昇、開業ラッシュ

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一方、全国に5万室を展開する東横インは、こうした争いを静観。「需要に応じて価格を変えることはしない」(東横イン)。客室単価(東京都内でシングル7800円)を据え置き、従来からの顧客を重視する姿勢を貫く。

実際、いつまでこの好調が続くのか、業界関係者も確信が持てないのだ。

気になる"東京五輪以降"に備えも

ホテルの建設そのものは2年程度でできるが、用地の取得や手続きも含めると、開業まで最低でも3年はかかる。東京五輪が開催される20年以降も需要はあるのか。折からの人件費や建築費高騰に加え、テロや感染症などのイベントリスクもある。

「全国で5.5万室を超えた。20年までに10万室を目指す。16年以降は投資負担の少ない中小型にシフト」とアパグループの元谷外志雄代表(撮影:尾形文繁)

アパの元谷代表は「大型の開業はそろそろ一巡。16年以降は徐々に投資負担の少ない中小型ホテルにシフトする」と需要縮小にも備える。

藤田観光の場合、横浜のワシントンホテル内に、接客研修用の施設を開設。高級感のあるビジネスホテル、というイメージを打ち出すことで、顧客の定着を図るためだ。

11月上旬に開かれた観光政策を検討する政策会議。安倍晋三首相は「2000万人は通過点」と宣言した。ホテル狂騒曲はいつまで続くか。

アパホテル歌舞伎町タワーの写真はこちら(英文サイト)

「週刊東洋経済」2015年12月5日号<11月30日発売>「核心リポート02」を転載)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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