前職の「顧客データ」使い逮捕!転職時の盲点 「営業秘密」に当たる?必ず3点を確認せよ
勤務先の「顧客データ」を持ち出し、その後に転職した会社で営業活動に使ったとして、宮城県の会社員男性(26)が、不正競争防止法違反(営業秘密の領得・使用)の疑いで、秋田県警に逮捕された。
秋田魁新報によれば、この男性は2012年10~11月、当時勤めていた秋田市内の通信機器販売・リース会社で、顧客情報約390件をUSBメモリーにコピーし、その直後の12年12月~13年2月に、転職先の宮城県富谷町の会社で、顧客獲得のための営業活動にデータを使った疑いがあるという。
転職先で、これまでの経験や人脈をもとに仕事をしていく人は、珍しくないだろう。今回のケースは、何が問題になったのだろうか。また、名刺の持ち出しも問題になることがあるのか。転職者が気をつけるべき点について、鈴木徳太郎弁護士に聞いた。
「営業秘密」とはなにか?
「まず、従業員には職業選択の自由があるため、他業種はもちろん、同業種であっても、原則として転職は自由と言えます。ただし、競業他社への転職を制限する合意書などに署名をしている場合は制限を受けることがあります。
しかし、ノウハウや顧客情報の持ち出しについては規制を受けます。ノウハウや顧客情報のうち、営業秘密に当たるものについては、不正競争防止法21条により、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金を科されるおそれがあります。また、民事上も、不正競争防止法4条や民法上の不法行為にもとづく損害賠償請求を受ける可能性があります。
そこで問題となるのが、ノウハウや顧客情報が不正競争防止法上の『営業秘密』に当たるかどうかです」
不正競争防止法上の「営業秘密」に当たるものとは、具体的にどんなケースが想定されるのだろうか