激増中の訪日客が東京観光で困っていること 鉄道の複雑な乗り換えは放置できない
一つ例をあげよう。外国人に人気が高く、交通の要所でもある新宿から浅草まで、電車で行く場合はどのように行ったらよいだろうか。
パソコンで経路検索をしてみると、30分弱で到着するルートとして、主に3つの行き方が出てくる。一つ目は新宿駅からJR中央線(快速)に乗り、御茶ノ水駅でホーム向かい側の総武線に乗り換え浅草橋で下車、都営浅草線に乗り換える経路だ。
二つ目は新宿から都営新宿線に乗り、馬喰横山で下車、5分ほど歩いて東日本橋で浅草線に乗るルート。だが、この2つのルートは乗り換えが2回ある。あるいは駅名の異なる乗り換えが必要となる。外国人はもちろんのこと、初めて訪れる日本人だとしてもそう簡単ではないかもしれない。子どもや年配の人など迷ってしまうケースもある。
そして乗り換えが1回で済み、もっともシンプルなのが、新宿駅からJR中央線(快速)で神田駅まで向かい、東京メトロ銀座線に乗り換える方法だ。
神田は東京観光の意外なハブ駅
経路検索などナビゲーションアプリを運営しているナビタイムジャパンが外国人観光客に提供しているアプリサービスがある。それで、目的地への行き方を検索した際に、乗換駅として最も多く表示された駅を見ると、上野や渋谷、日比谷などを抑えて、神田が11位にランクインしている。
実際に神田駅を観察していると、JR線や銀座線の改札口から出てくる外国人をしばしば見かける。ターミナル駅である新宿と東京を結ぶ中央線の駅で、浅草に通じる銀座線が通っている神田駅は、浅草を軸に行動する場合に重要なハブ(結節点)になるようだ。
ただ神田駅が訪日客にとってわかりやすい駅かというと、そうとはいえない。ある白人女性は、銀座線への乗り換えに近いJRの東口・北口改札にたどり着いた。が、そのあとは、コンコースを行ったり来たりしていた。
改良工事中という事情はあるが、JR神田駅の1階コンコースは柱が多く見通しが悪いため、銀座線への乗り換え口が簡単には見つからなかったようだ。サラリーマンの駅のイメージが強い神田駅は、初めて訪れた人には意外に難解だ。
観光スポットではないが、外国人に利用されているハブ駅は神田駅だけではない。東京五輪に向けて、一段と増加が予想される外国人観光客の対応策は、観光スポットの最寄り駅の整備に目が行きがちだ。だが、乗り換えのわかりやすさなど、ハブとなる駅の改善も求められる。
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