都市部で計画されていた幻の鉄道路線(未成線)、今回は東京都港区の品川駅に乗り入れるはずだった「幻の地下鉄構想」を紹介する。ただ、多くの方は「幻に終わった」という表現に違和感を覚えるかもしれない。「品川地下鉄」は現在進行形の構想だからだ。
2003年10月に東海道新幹線のホームが新設され、東京のサブターミナルに生まれ変わった品川駅。2027年にはリニア中央新幹線の東京ターミナルも整備される予定で、その拠点性を高めつつある。その一方、品川駅には地下鉄が直接乗り入れておらず、拠点性を高めていく上での課題の一つになっている。こうした状況のなか、品川駅に乗り入れる地下鉄の整備構想が浮上した。
東京都は2014年9月、JR車両基地跡地(田町~品川間)の再開発を含む、田町・品川両駅周辺地域の「まちづくりガイドライン」を策定。品川駅の地下を東西に貫く「鉄道新線」を整備するための空間の確保も盛り込んだ。今年7月に都が取りまとめた「広域交通ネットワーク計画について」では、さらに一歩踏み込んで「都心部・品川地下鉄構想」を盛り込んでいる。
品川を目指していた副都心線
都心部・品川地下鉄構想は、その名の通り品川駅から山手線内を北上し、東京都心部に食い込んでいく地下鉄の構想だ。「広域交通ネットワーク計画について」では、この構想を「整備について検討すべき路線」としている。「優先的に検討すべき路線」とされたJR羽田空港アクセス線(東京都心~羽田空港)などと比べると、優先順位は低い。とはいえ、品川駅に乗り入れる地下鉄の実現性が、多少なりとも高まったことは確かだ。
ただ、品川駅に乗り入れる地下鉄の構想が浮上したのは、これが初めてではない。今から40年ほど前の1970年代初頭にも、品川駅に乗り入れる地下鉄の整備が考えられていた。その路線の名は「東京13号線」。現在の東京メトロ副都心線だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら