「国際興業」のイメージは、一般的には運輸業をメインとした総合商社だろうか。新潟県出身である私の場合、創業者・小佐野賢治の名が真っ先に浮かび、元首相の田中角栄との関連で連想される名前だ。
運輸事業者としての国際興業は、東京北部・埼玉南部の路線バスを運営しているバス会社。山梨交通や十和田観光電鉄など、かつての傘下企業には鉄道路線を運営していた会社もあったが、国際興業が鉄道路線を直接経営したことはない。しかし1960年代初頭には、鉄道の建設を考えていたことがあった。
1964年の東京五輪までに完成
1961年1月11日付の埼玉新聞は「国際興業いよいよ申請書提出」と題し、同社の鉄道構想を報じている。
記事中の「鉄道敷設の申請書」とは、「地方鉄道免許申請書」のことと思われる。民間企業や地方公共団体などが新たに鉄道を経営しようとする場合、当時は地方鉄道法に基づく地方鉄道免許を申請するか、軌道法に基づく軌道特許を申請する必要があった。軌道法は基本的には路面電車の法律だから、国際興業は地方鉄道免許を申請しようとしていたのだろう。


















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