東京人を都内観光させる「はとバス」の発想力 集客低迷からの「奇跡の復活劇」を遂げた!
1月8日、「成人の日(1月11日)」よりもひと足早く、はとバスガイドの成人式が行われた。2016年に新成人となるガイドは、2014年3月に入社した22名。彼らの出身地は青森県から鹿児島県まで1都16県と広範囲に及ぶ。
ひと足早いはとバスの成人式は今では年始を飾る風物詩になっており、2016年で55回目を迎える。成人の日は祝日なのでガイド業務は多忙となり、ガイドは成人式に出席できない。このため会社独自で成人式を行っているという。
「くまモン」もガイドの成人式を祝福
朝8時、振り袖姿の22人が都内大田区のはとバス本社前に現れると、待ち構えていた報道陣のカメラの放列にビックリ。「超やばい、芸能人みたい!」。思わず発せられた言葉には、まだフレッシュさが残る。
新成人ガイドたちは、明治神宮を参拝した後に日の出桟橋に。そこでは、あの「くまモン」が突然登場してガイドたちを祝福するというサプライズもあった。成人式という社内行事すらもPRに活用してしまう、はとバスの発想力には圧倒される。しかし、ここに至る過程には従来とは異なる発想の転換があった。
かつてのはとバスツアーは、定番の観光地を巡るプランがメインだった。主たる客層は東京見物に来た人たちで、1964年の東京オリンピックの頃には年間123万人を集客した。しかし、乗客は次第に減少、2001年度には51万人まで落ち込んだ。その後もなべ底のような低迷が数年間続いた。
それが2012年度に20年ぶりの90万人台に回復。近年は訪日客の利用が伸び、堅調に推移している。この奇跡の復活劇には大きなターニングポイントがあった。
復活のきっかけは2008年に打ち出した「60周年特別企画」。そのときの様子は『「はとバス」ヒットの法則23』(潮出版社)に詳しい。「コスト削減や合理化だけでは、限界があることは明らかだった」。著者の江沢伸一・定期観光部副部長・企画課長は、本書でこう述べている。
復活の原動力となったのは、商品の企画力と、食事力だった。
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