押し寄せる仕事の波を片付けて手に入れた、束の間の自由。年越しの終夜運転や初日の出列車、季節・臨時列車、雪景色の絶景車窓など、冬は非日常が楽しめる鉄道イベントが目白押し。今こそ気になっていた路線を訪れてみよう。
駅と駅とを鉄道以外の方法でショートカットしてつなぐ旅。意外な乗り継ぎができるルートがこの国のあちこちに存在し、旅に新たな楽しみを与えてくれる。しかし、ルートを見つけたからといって必ずしも成功するとは限らないのがこの旅のスリルあふれるところだ。
今日は、この冬私が注目したとある駅をご紹介したい。
長良川鉄道・北濃駅だ。
つながらなかった路線を結んで…
美濃太田駅を出発すると、長良川鉄道は他のどの路線とも接続することなく岐阜県を北上していく。
沿線には美濃市の和紙や鮎料理、郡上八幡の城下町、郡上踊りなど魅力的な観光ポイントが揃っているが、ずんずん進んでいくとそんなワクワクした気持ちに水を差すように、線路は三方を山に囲まれた行き止まりにぶち当たってしまう。古い転車台(ターンテーブル)の傍にポツンと置かれた終着駅が、北濃駅である。
北濃駅は国鉄・越美南線の駅として昭和9(1934)年開業。現在は第3セクター長良川鉄道の駅となっているが、もともとは遥かな山を越えてJR西日本・越美北線と接続し「越美線」として完成する計画であった。
しかし夢は叶う事なく結果的にここが終着駅に。地図を見ても「あと少しで繋がったのに」とちょっと悔しい。
この分断された未成線部分を補完するように、2002年までジェイアール東海バスが運行を続けていたバス路線も不採算のため廃止に。それ以来、この区間を直通する交通機関が途絶えてしまった。
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