悲願の相鉄「都心乗り入れ」はいつ実現するか 都心「進出」までの長い道のり<前編>

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ほぼ完成した姿を見せる、神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線)の西谷トンネル。相鉄にとっては念願の「東京直通」を実現する新線になる(写真提供:鉄道・運輸機構)

首都圏では2010年の京成電鉄成田空港線(成田スカイアクセス)開業以来、新しいルートを形成する新線の開業が途切れている。新線の構想は今でも多数存在するものの、全体的に見れば鉄道網の整備はほぼ完了した状態となっており、新たに鉄道路線を整備する必然性が薄れたためだろう。国や自治体の財政難で、建設費を捻出できないことも背景にある。

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東京オリンピック(2020年)の開催決定を機に、JR羽田空港アクセス線などの構想も浮上したが、工期の問題などから開催までの整備はほぼ不可能と判断されており、今のところ開催にあわせた新線の整備計画は存在しない。

しかし、首都圏での新線整備は完全に途切れたわけではない。2027年開業予定のリニア中央新幹線を除いても、横浜市内の内陸部を横断する鉄道新線の建設が進められている。その名は「神奈川東部方面線」だ。

新たな駅はどこにできる?

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神奈川東部方面線の位置。JR線と接続する羽沢駅付近を境に相鉄線方面が「相鉄・JR直通線」、東急線方面が「相鉄・東急直通線」と呼ばれている(作図:草町義和)

神奈川東部方面線は、保土ケ谷区の西谷駅を起点に北東方向へ進み、JR東海道本線の横浜羽沢駅付近や東海道新幹線・横浜線の新横浜駅を経て港北区の日吉駅に至る、全長約12.7kmの鉄道路線だ。地上に出るのは西谷駅付近と横浜羽沢駅付近、日吉駅付近の3カ所だけで、それ以外のほぼ大半が地下トンネル区間になる。

工事計画上は、横浜羽沢駅付近を境に西谷方の約2.7kmが「相鉄・JR直通線」、日吉方の約10.0kmが「相鉄・東急直通線」と呼ばれている。西谷駅で相模鉄道(相鉄)本線、横浜羽沢駅付近でJR東海道本線、日吉駅で東京急行電鉄(東急)東横線の線路にそれぞれ接続。相鉄線~JR線と相鉄線~東急線の相互直通運転が行われる。

駅は起点の西谷と終点の日吉のほか、羽沢・新横浜・新綱島の3駅(いずれも仮称)を設置。羽沢駅は東海道本線横浜羽沢駅の南西側地下、新綱島駅は東横線綱島駅の南東側地下にそれぞれ設けられ、新横浜駅はJR東海道新幹線・横浜線の同名駅の北西側を通り抜ける道路(環状2号)の地下に設けられる。

東海道本線に「横浜羽沢」などという駅はない、と思う人が多いかもしれない。実は、東海道本線の鶴見駅から東戸塚駅までは、横浜駅を経由する海寄りのルートとは別に、内陸側の丘陵地帯をトンネルで貫く貨物線(羽沢貨物線)があり、その途中に貨物駅の横浜羽沢駅がある。

貨物線だから貨物列車ばかり走っているが、小田原~新宿間を走る整理券方式の着席保証型列車『おはようライナー』など、ごくわずかだが旅客列車も運行されている。この羽沢貨物線の横浜羽沢駅付近に、神奈川東部方面線から羽沢貨物線に移るための接続線を設け、相鉄線~JR線の相互直通運転を可能にするわけだ。

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