副都心線は現在、渋谷駅で東急東横線の線路と接続して相互直通運転を行っているが、東京13号線の当初構想では東横線への乗り入れは考えられておらず、渋谷からさらに山手線内を南下して品川方面に向かう予定だった。
東京の鉄道整備基本計画は戦後、運輸大臣の諮問機関だった都市交通審議会(都交審)が取りまとめてきた。最初の基本計画は1956年8月に都交審が策定した1号答申で、東京に5本の地下鉄を整備するものとしていた。
しかし、その後も経済成長に伴う輸送力不足から、整備路線を追加した基本計画の改定が順次行われている。副都心線に相当する東京13号線の整備が初めて盛り込まれたのは、1972年3月に都交審が策定した15号答申だ。
都交審15号答申は、「イ.東京都周辺部から都内業務地への通勤交通の確保」「ロ.東京副都心の育成及び江東地区等の路線網の整備」「ハ.新幹線鉄道等全国交通網との結合の強化」の3点を主眼に置いた。このうち、「東京副都心の育成」に資する路線として盛り込まれたのが、東京13号線だった。
新宿から羽田直結路線に
都交審15号答申の答申書では、池袋・新宿・渋谷といった東京副都心の「育成」という観点から、東京13号線の整備ルートを「志木~和光市~成増~池袋~東池袋~目白東~諏訪町~西大久保~新宿(志木~和光市は東武東上線の複々線化を行なうものである)」とし、さらに「新宿より渋谷、品川を経て羽田方面への延伸を検討する」との一文も加えられていた。
答申書に添付されている路線図を見ても、志木方面から新宿付近までの整備ルートは東京13号線が茶色の実線で描かれており、新宿付近からは品川付近を経由して羽田方面に向かう検討ルートが茶色の一点鎖線で描かれている。副都心線は当初、品川駅どころか羽田空港への直結も考えられていたのだ。
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