都交審の機能を引き継いだ運輸政策審議会(運政審)は1985年7月、都交審15号答申に代わる新しい基本計画(運政審7号答申)を策定する。この答申では、建設費の高騰などから新線の建設が困難になった状況を踏まえ、既設路線の延伸や貨物線の旅客線化など「既存ストックの活用」を重視した内容となり、山手貨物線の旅客線化や京急空港線の延伸も盛り込まれた。
一方で東京13号線も建設するものとしたが、都交審15号答申で検討ルートとされた新宿以南は渋谷までの建設とし、渋谷~品川~羽田方面は削除された。山手貨物線の旅客線化や京急空港線の延伸で、東京13号線の機能をほぼ代替できると考えられたためだろう。
池袋~渋谷間も山手貨物線の旅客線化で代替できるはずだが、この区間は渋谷~品川間に比べ、山手線の混雑率がひじょうに高かった。貨物線の旅客線化だけでは十分な輸送力を確保するのが難しいと判断され、基本計画に残されたようだ。この結果、東京13号線の品川乗り入れは幻と化した。
品川の地下鉄構想は復活したが…
幻に終わった副都心線の品川乗り入れ構想から約40年。この間、京急空港線は1998年11月に羽田空港の新ターミナルビルへの乗り入れを果たし、埼京線も2002年12月までに大崎駅までの乗り入れを開始した。そして2008年6月、副都心線は渋谷以北の全ての区間が開業。2013年3月からは東急東横線が副都心線の地下ホームと接続し、相互直通運転を開始している。
一方、最初で述べた通り、今年7月に東京都がまとめた「広域交通ネットワーク計画について」で、都心部・品川地下鉄構想が盛り込まれた。詳細なルートは今後検討されることになるだろうが、仮に品川~渋谷間を結ぶルートが採用されれば、副都心線の当初構想が復活することになる。
ただ、「広域交通ネットワーク計画について」の路線図では、都心部・品川地下鉄構想のルートは、品川駅からほぼ真北に延びる点線で描かれている。点線の先にあるのは渋谷ではなく、永田町や市ヶ谷だ。だとすれば、都営三田線と東京メトロ南北線の合流点である白金高輪駅まで建設し、ここから南北線に乗り入れて永田町方面を目指すのが順当だろう。
品川に乗り入れる地下鉄の構想は復活したが、副都心線の品川乗り入れは、やはり幻に終わりそうだ。
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