「1万歩じゃなくてOK!」科学的に正しい歩数の正解――"最低でも必要な歩数"と"健康効果を高める歩き方のコツ"【医師が解説】
歩数の効果は、死亡率や認知症にとどまりません。
2019年の糖尿病専門誌の大規模解析では、1日約1万歩歩く人は4000歩未満の人と比べて2型糖尿病の発症リスクが半分程度に下がることが示されました。
また、2021年の研究では、食後に15分程度の軽い散歩をするだけで、血糖値の上昇が平均30%ほど抑えられたと報告されています。
メンタルヘルスへの影響も見逃せません。
2023年のイギリスのスポーツ医学専門誌に掲載された論文では、1日約7000歩の身体活動が、うつ症状のリスクを22%程度低下させることが明らかになりました。
年齢で変わる目標の歩数
ここまで見てきた数字は、主に中年以降の成人を対象にしたものです。高齢者にとってはどうなのでしょうか。
2020年にアメリカ医師会誌『内科学』で発表された研究では、60歳以上の女性約1万7000人を追跡した結果、1日4400歩で死亡リスクが明確に下がり始め、7500歩で効果がほぼ頭打ちになることが示されています。
早稲田大学などが2023年に発表した研究も同じ傾向でした。
京都府亀岡市の65歳以上の高齢者4165人を追跡した結果、5000〜7000歩で、死亡リスクへの有益な効果がほぼ頭打ちになること、そして5000歩未満の高齢者が1000歩増やすだけで、死亡リスクが23%低下することが明らかになりました。
同じ傾向を示すのが、2022年に『ランセット公衆衛生誌』に発表された15カ国4万7471人の大規模解析です。60歳未満の成人では8000〜1万歩でリスク低下が最大になる一方、60歳以上では6000〜8000歩で同様の効果が得られると報告されています。
高齢者にとって深刻な問題である転倒のリスクも、7000歩程度の活動で28%ほど低下すると報告されています。転倒は高齢者の寝たきりにつながる要因の1つですから、この数字の重みは大きいといえるでしょう。
ありがたいのは、年齢が上がるにつれて、必要な歩数の目標が少なくてすむこと。つまり高齢者にとっては中年期より少し減らして6000〜7000歩程度の目標に下げても、まずまずの健康効果が期待できるのです。
無理なく続けられる範囲で歩くことが、何より大切だといえます。




















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