「1万歩じゃなくてOK!」科学的に正しい歩数の正解――"最低でも必要な歩数"と"健康効果を高める歩き方のコツ"【医師が解説】
現実的に、毎日7000~8000歩程度でもなかなか無理、という人もいるでしょう。ここで希望になるのが、2023年アメリカ医師会系列誌に掲載された研究です。
アメリカの成人3101人を、8000歩以上歩いた日が週に何日あるかというパターンで10年間追跡したものです。
その結果、8000歩以上を達成する日が週1〜2日でも、10年後の全死亡リスクは15%低くなりました。週3〜7日だと16.5%でわずかに差はあるものの、劇的な改善効果というほどではありません。
そのため、研究者たちは「健康に対する効果は、週3日あたりで頭打ちになる」と分析しています。
心臓病による死亡も同じ傾向で、週1〜2日でリスクは8%低下、週3〜7日でも8.4%低下と、歩く日数が毎日でなくても悪くない効果が出ていました。
つまり「平日にまとまって歩く時間を取れない人が、週末だけ長めに歩く」というスケジュールでも、医学的には十分に意味があるということ。週に数回、がんばる日を作れば、体はそれに応えてくれるのです。
歩数だけでなく速さも大事
歩数の話は脳の健康にも関係します。
2022年に、アメリカ医師会誌『神経学』 に発表されたイギリスからの大規模研究は、7万8430人を手首の活動量計で評価し、約7年間追跡したものです。
認知症の発症リスクが最も下がったのは、1日約9800歩のグループで、あまり歩かない人と比べて、認知症リスクが半分程度に下がっていました。
さらに重要なのは、25%のリスク低下が得られる最小の歩数が約3800歩と推計されたことです。脳に関しても、まず4000歩近くが現実的な目標になるというわけです。
そしてこの研究は、歩き方の質にも踏み込んでいます。
1分間に112歩程度の速さ(大股でさっそうと歩くペース)で30分歩く習慣のある人は、認知症リスクが62%も低いという結果が出ました。同じ9800歩でも強度の高い速歩きのほうがリスクの低下幅がさらに大きかった格好です。
信州大学の研究でも、インターバル・ウォーキング(インターバル速歩)という、「早歩き(ややきついと感じる強度)とゆっくり歩きを3分ずつ交互に計5回(計30分)繰り返す運動法」の健康効果が示され、認知症に対する効果の研究も進行しています。
買い物帰りに少しだけ急ぎ足にする、駅まで早歩きで向かう。そんな日常のちょっとした速歩きが、脳を守る習慣になります。




















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