「1万歩じゃなくてOK!」科学的に正しい歩数の正解――"最低でも必要な歩数"と"健康効果を高める歩き方のコツ"【医師が解説】

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まず2023年、ヨーロッパ心臓病学会系列の医学誌に掲載された大規模解析があります。17の研究、参加者22万6889人、追跡期間の中央値7.1年という規模で、日々の歩数と死亡リスクの関係をまとめたものです。

結論は明快でした。

全体の死亡リスクは、1日3867歩を超えたあたりから明確に低下し始め、心臓病による死亡は、さらに少ない2337歩あたりから下がり始めます。2000歩台を超えるだけでも、心臓病のリスクが低下するということです。

しかも、増やし方が現実的です。

1日1000歩増えるごとに全死亡リスクは15%低下し、心臓病による死亡は500歩増えるごとに7%低下すると報告されています。つまり、通勤時に1駅分歩く、昼休みのランチの行き帰りに遠まわりする、エレベーターを階段に変える……そのくらいの足し算でも、統計的にはっきりと意味のある改善が認められたのです。

なお、この論文では2万歩まで調べていますが、それでも「リスク低下の上限が見つからなかった」と述べています。この論文では歩けば歩くほどいい、という結論にいたったのです。

最低、何歩歩けばいい?

では、別の研究結果を見てみましょう。

2020年、アメリカ医師会誌に40歳以上のアメリカ人4840人を約10年間追跡した研究が発表されました。この論文では1日4000歩の人と比べると、8000歩の人は死亡リスクがほぼ半分に、1万2000歩の人は3分の1程度にまで下がっていました。

注目すべきは、4000歩から8000歩の増加で大きな改善が見られ、それ以降は効果の伸びが鈍ることです。がんばって1万歩、1万5000歩と増やしても、その恩恵は頭打ちになっていくのです。

さらに、別の研究でも同じ傾向がありました。

2021年にアメリカ医師会系列誌に発表された成人2110人の約11年の追跡研究では、1日7000歩以上歩く人は7000歩未満の人と比べて死亡リスクが5〜7割程度に下がることが示されました。

仕事で忙しい現役世代や体力に不安がある高齢者にとって、最低7000~8000歩はがんばりすぎず、でも確かな健康効果が認められる落としどころの目標値になると思います。

もちろん、歩けば歩くほど健康効果は少しずつ高まるようなので、歩ける余力がある人はさらにたくさん歩けばいいと思います。

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