ハリウッド大作が「朝1回上映」に追いやられるシネコンの異常事態、史上最高興収に沸く日本映画界で起きている《カオス化》の深層

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25年1月に公開された香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は興収5.7億円を稼ぎ出した。カンフー映画がなぜいま見られるのかと驚いたが、ブルース・リーなどとはまったく関係ない新しい流れなのだ。

アメリカ映画の中身も変わりつつある。かつて「洋画」といえばハリウッドのメジャースタジオ作品を意味したが、いまはA24をはじめとするインディペンデント系スタジオの作品がむしろメジャー。老舗スタジオの大作が日本で振るわなくなった一方で、独立系の作品が一定の観客をつかんでいるのは興味深い構図だ。

「カオス化」する日本の映画市場

かつて日本の映画市場は「邦画か洋画か」という二項対立で語られてきた。洋画とはすなわちハリウッド大手作品であり、邦画の中心はテレビ局制作の実写だった。しかしいまや、まずアニメが圧倒的に市場を占めそれに加えて、リバイバル、アジア映画、北欧映画、インディペンデント系のアメリカ映画、そしてODSと、映画館のスクリーンに映るコンテンツは驚くほど多様化している。

スクリーンに映せるコンテンツなら何でもあり。映画館はいわば「多面体のエンタメパーク」と化しているのだ。

日本の映画市場は、アニメを核として大きく変貌しつつある。ハリウッド作品はアニメ以外の中の最大勢力ではあるが、以前の規模はない。空いたスクリーンには多様なコンテンツが流れ込む。この「カオス化」は、実は映画館が新たな姿へと変態する過渡期の混沌なのではないか。

日本の映画館はいま、「邦画とハリウッドが拮抗する場所」から「アニメをはじめ、スクリーンに映るあらゆるエンタメが共存する場所」へと生まれ変わろうとしている。この変貌は、世界の映画市場の「例外」なのか、それとも「先例」なのか。ひょっとしたら、日本のカオス化した映画館こそが、映画興行の未来の姿なのかもしれない。

境 治 メディアコンサルタント

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さかい おさむ / Osamu Sakai

1962年福岡市生まれ。東京大学文学部卒。I&S、フリーランス、ロボット、ビデオプロモーションなどを経て、2013年から再びフリーランス。エム・データ顧問研究員。有料マガジン「MediaBorder」発行人。著書に『拡張するテレビ』(宣伝会議)、『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』(大和書房)など。

X(旧Twitter):@sakaiosamu

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