満足度を高める絶対的なTTHはなく、TTHに対する候補者本人の期待値と、実際のTTHとのギャップの問題だとすると、そこから導かれる解決策はいたってシンプルです。
「〇〇さんにはこれから一次面接に進んでもらいますが、最終的な合否の結果が出るまでの平均の期間はこのくらいです。ただし、これはあくまで平均値なので、多少ずれ込むことがあることをご理解ください」
候補者に対して採用担当がこのように事前に説明し、TTHの目安を示しておくのです(これを心理学用語で「アンカリング」といいます)。そのことで候補者のTTHに対する期待値を補正し、現実とのギャップを最小化することができます。
また、面接が進むにつれて初回に説明した期間からさらにずれ込みそうになったら、すぐ候補者に連絡をとり、期待値を再調整します。こまめに連絡することによって、相手に不安や疑問を抱かせないようにするのも、候補者の体験を高めるうえで重要なアクションなのです。
「見えないコスト」を驚くほど気にしない日本企業
ところで、採用に携わっている(あるいは携わったことのある)読者の方が「効率」と聞いて真っ先に連想するのは、おそらく「時間」よりも「費用」ではないでしょうか。
どの求人広告にいくらの予算を使って何人のエントリーを獲得したのか。エージェントを通じて何人を採用し、成功報酬としていくら払ったのか。説明会の会場代はいくらかかったのか……こういった費用は「目に見えるコスト」なので、採用単価を簡単にはじき出すことができ、KPIとしても管理しやすい側面があると思います。
もちろん、こういった「目に見えるコスト」への意識は大事なことです。一方で、グーグルのように採用に要する時間や面接に携わる社員の人件費といった「目に見えないコスト」にこだわり、KPIを管理している企業はどれだけあるでしょうか。
「いい人材を採ろう」と面接の工数をかけ、多くの社員を面接官に動員しても、それらの工数や人件費はキャッシュフローの数字には表れないので、懐は痛まないかもしれません。でも、時間があれば一度すべての採用プロセス全体に要する人件費を計算してみてください。「え、こんなにかかっていたの?」といった隠された事実が明らかになるかもしれません。
また、繰り返しますがTTHの長期化は、候補者の「体験」に悪影響をおよぼします。次の面接がなかなか決まらない。いくら面接しても合否が出ない。そのことに候補者がしびれを切らし、内定辞退につながっているような実態が、読者の会社にもあるかもしれません。
採用プロセスの一つひとつの工程にムダがないか、効果の出ていないものはないかを検証し、最適化を図っていく。このことは単なるコストセービングにとどまらず、企業の採用競争力を高めるうえでも大きな効果のある施策なのです。
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