「じいじが絵本になった」と喜んでくれる孫は5人。
馬の魅力を尋ねると、「癒やし」と答える。
「音、揺れ、存在そのものが素晴らしい動物」
馬とうまく付き合う方法は、ひとと同じだという。
「寒いかな、お腹空いたかな。馬は言葉を話せない分、予測してケアしてあげる」
馬の気持ちはわかる。しかし——。
「女の気持ちだけはわからん」と笑う貞松さん。気づけば、取材は90分を超えていた。
趣味が仕事、仕事が趣味
これからやりたいことは? そう聞くと、貞松さんは即答した。
「ない。これでいい。今の暮らしが好きってこと」
今やっていることが一番楽しいから、これを一日でも長く続けたい。
「馬を育てることが僕は大好きで、それが趣味なんですよ。好きなことをやって、それが仕事。趣味が仕事で、仕事が趣味」
好きな馬と一緒に暮らしていくために、人馬一体となってごはんを食べるお金を稼ぐ。それが貞松さんの幸せだ。すでにやりたいことをやっている。だから、この日々を一日でも長く続けていきたい。
「借金がなくなればいいけどね」と、どこまでも自然体だ。
「馬は難しければ難しいほど楽しくなってくるの」
同じ馬でも、毎日違う。昨日は平気だったことが、今日は怖い。昨日は言うことを聞かなかったのに、今日はめちゃくちゃ素直。そのスイッチを探し、見つけ、向き合う。それが楽しくてたまらない。
「飽きない。ぜんっぜん、飽きない」
貞松和彦、58歳。
馬と生きると決めた少年は、今日も、これからも、馬と共に幸せを運び続ける。
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