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「かわいそう」と言われても…肉になる運命だった白馬が20年無事故で繁華街を歩く訳—プロが明かす"馬を仕事にする"現実と覚悟

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何より、馬車事業はひとの生死に関わる。安全性を確保するには、調教の技術を維持し続けなければならない。それができなければ、事業は成り立たない。

さらに、馬の調教技術だけでは足りない。結婚式という「晴れの舞台」にふさわしい立ち居振る舞い、式場スタッフとの連携——子どもの頃から映画やドラマの撮影現場で培った経験が、ここで生きているのではないか。結果として、貞松さんにしかできない事業になっている。

厩舎の壁には手綱や、馬の口に入れて合図を伝える金属製の器具「ハミ」など、調教に使われる馬具が掛けられている(画像:筆者撮影)

「かわいそう…」と言われることもあるが

貞松さんの馬は、どこから来るのか。

「お肉屋さんに行って、白いのを見つけて買ってきて、自分で調教して」

お肉屋さんとは、食肉市場のこと。そのなかから、白い馬を探し出す。ただし、こだわりがある。競馬を引退した馬や、重いソリを引いていた馬は買わない。

「一癖、二癖あるしね。それに、僕は馬車なので、ソリを引く馬とは調教が全然違うんです」

手つかずの馬を選ぶ。肉にするためだけに育てられた、まっさらな馬だ。

「連れて帰って、本当に調教ができるかどうか。今でも賭けですよ」

貞松さんはこれまで10頭以上を食肉市場から連れ帰り、全頭を仕事ができる馬に育て上げた。

「なんでかって言ったら、諦めないんで。絶対に良くする。良くなるまで調教するんで」

相棒のシュガーベルも、同じ経緯で福岡にやって来た。毎週マリノアに通い、一緒に仕事をして11年目を迎える。

食肉市場(画像:貞松和彦)


この活動を、世間は「レスキュー」と呼ぶ。しかし、貞松さん自身の感覚は少し違う。

「僕も助けられてるんですよ、逆に。お互いさまなんです」

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【共に働き、共に食べていくパートナー】

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