全国から馬の調教依頼も来る。
「ちょっと手に負えない馬たちがうちにお勉強に来るんですよ」
CMやプロモーションビデオなど、撮影の現場からも声がかかる。馬を貸すこともあれば、自ら現場に入ることも、監修だけで呼ばれることもある。
「監督が求めていることを、どこまでできるか。向こうは馬のことがわからないので、『こんなシーンは撮れますか?これは無理ですか?』ってすり合わせをして」
貞松さんは自らを「イベント屋」と呼ぶ。何でもやるイベント屋。今は馬車事業が主だが、馬のことなら何でも相談が来る。
白馬が街中を歩ける理由
馬は本来、臆病な動物と言われる。
「人混みとか騒音とか、傘とか風船とか、馬がびっくりするようなことしかないの。歓声が上がったり」
結婚式場はとくに危険だ。バルーンが飛び、ドローンが舞い、歓声が上がる。馬にとっては恐怖の対象だらけ。暴走すれば、死亡事故につながりかねない。
では、なぜ貞松さんの馬は街中を悠然と歩けるのか。
「馬をさまざまな刺激に慣らす調教を『馴致(じゅんち)』って言うんですけど、それが僕めちゃくちゃ得意で。みんな知ってるんですよ、日本のプロたちは」
貞松さんの馴致は、一般的なものとは異なる。
「普通はびっくりしたら本能で走って行っちゃう。けど、うちの馬たちはびっくりしたら止まるように教えてるから、無事故でやってる」
びっくりしたら、走るのではなく、止まる。この逆転の発想が、20年間無事故の秘密だ。


















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