繁華街に突如現れる「白馬に乗ったおじさま」…借金4000万円から《食肉市場》で売られていた馬と共に"幸せ配達人"になった男の壮絶50年

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馬術大会の時の様子
馬術大会の時の様子(写真:貞松和彦)

30歳、勝負に出る

30歳を前に、貞松さんは福岡に戻った。選手として最も脂がのっていた時期だった。

「そんなに深く考えて悩んだことはないんです。自分でもう決めてたから、将来馬車屋やるって。馬術のなかでもある程度いくとこまでいった、それがきっかけですね」

福岡でフリーランスとして個人レッスンや大学馬術部のコーチをしながら、「馬車屋をするにはどんな準備が必要か」を考え続けた。事業計画を練り、構想を固めていく。

そしてついに、完成した事業計画書を手に銀行へ向かった。

馬を買う、厩舎を建てる、トラックを買う、馬車を買う、衣装をそろえる――初期投資は、安く見積もっても4000万円。

「貸すわけないですよね、普通に。馬車事業なんて説明してもわかってもらえないんですよ、前例がないので」

案の定、融資は下りなかった。

ならば、と貞松さんは作戦を変えた。先に結婚式場と契約を結べば、売り上げの予測が立つ。契約書があれば、銀行も融資に応じてくれるかもしれない。

ひとりで結婚式場への営業をはじめた。「白馬の馬車で新郎新婦を運ぶ」プランを福岡中の式場にプレゼンして回った。

反応は、驚くほど良かった。

「プレゼンしまくったら、ほぼ10割、どの式場に行っても『いいですね、素敵』って言うんです」

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