業界全体で見れば、集客や収益に走ったことも、悪手となったように感じる。
太田氏によれば、相席屋の創業当初は、営業前に利用客が菓子折りを持ってきて、相席屋で出会った異性との交際を報告しに来る光景も珍しくなかったという。いわば客同士が、自然に卓を囲み、恋愛関係に発展するーー。そんな良縁が育まれるイメージが担保されていたという。
それが一転、業界のプレーヤーも増えて競争が激しくなり、一時的なブームが沈静化した結果、多くのブランドが「VIP席」の設置を進めた。
これは通常料金より高値を払えば、店舗側が男性の好みに合わせて、女性を采配するシステムだ。金に物を言わせれば、よりおいしい思いができるわけだが、相席業態の「自然な良縁をサポートする」という透明性が揺らぐ側面は否めない。他社が経営する相席ラウンジのレビューには、「素人キャバクラと変わらない」という投稿も確認され、どこか水商売の匂いが漂う。
Amazonギフトカードを配布する店も…
競合他社の中には、女性の集客を図るため、Amazonギフトカードなどの特典を配布するブランドも確認できた。短期的に見れば、女性客が集まる効果的な販促に思えるが、「純粋に出会いを求めて来店する」女性は相対的に減る。長期的に見れば、男性客の満足度が下がり、離反につながる可能性が高くなるわけだ。
もちろん割り切って販促をかけ、短期的に集客を図るのは戦略として合理的だ。
一方で、相席業界全体として見た時に、どこかビジネスライクなイメージがついてしまったのは否めない。
集客や収益に走り、運営側の介入が増えた結果、真剣な出会いを求める男女から敬遠されがちになったのではないか――。かつていた30~40代の層が大幅に減ったことを鑑みると、そう思わざるを得ない。
こうした行き詰まりを解消するため、セクションエイトが注力する新業態が『THE SINGLE』だ。名称の通り1対1を専門にした相席業態は、2019年に第1号店を開業し、公式サイトによれば現在8店舗を展開している。
早速、注力している理由を検証するため、2025年12月末に『THE SINGLE 銀座コリドー街店』を訪れた。この業態では、相席する時間が1人あたり20分と決まっており、週末価格で20分あたり3300円かかる(価格は税込、女性は完全無料制)。
価格設定が妥当かはさておき、相席屋の自動延長制とは異なり、時間が明確に決まっているため、タイパ重視の昨今も受け入れられやすいように感じる。


















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