「壊すしかない」と言われ続けた"岩に抱きつく廃墟"、大逆転の再生物語。廃墟好きが「栃木のマヤカン」と呼んだ施設は今

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「また、金融機関は担保価値として土地しか見ていませんが、この建物のように特異なオリジナリティのある建物には独自の価値があり、可能性がある。でも、そこも見てもらえず、最終的には運営者の信用で資金を調達、運営者が自営することになりました」(和泉さん)

エントランス脇
エントランス脇。右の岩は建物内から見られるオブジェになっている(写真:大谷グランド・センター)
建物内から見た大谷石オブジェ
建物内から見た大谷石オブジェ。溶岩のようにも見える(写真:筆者撮影)

廃墟、空き家の活用では実にしばしば資金調達が課題とされる。金融機関に貸してもらえないのだ。そんな金融機関の論理の中心に据えられている考え方はどのケースでもほぼ同じで「前例がない」=「自分たちにわからない」。

金融機関も商売である。「自分たちにわからない=儲からない」ように思えるものに貸したくないのはわかるが、前例のあるものだけに貸し続けたらどうなるか。

新しいものは生まれなくなると思うが、金融機関はそれでいいのだろうか。幸い、最近は新しい事業に理解のある金融機関も増え始めているが、残念ながらこの事業では協力を得ることが難しかった。

唯一無二のアートスペースが誕生

アートスペースについては自身がアーティストであり、コレクターでもある遠山正道さんに相談した。

ビジネス界の人にはスープ専門店「スープストックトーキョー」、ネクタイブランド「giraffe」、新しいコンセプトのリサイクルショップ「PASS THE BATON」などを展開する株式会社スマイルズの代表取締役といったほうがわかりやすいかもしれない。

現地を訪れて遠山さんが和泉さんに推薦、現在グランド・センターで楽しめるのはグラフィックアーティストであり、アートディレクターでもあるYOSHIROTTENの作品。

数多くのアーティストや企業などとコラボ、映像、空間、Web、グラフィックと幅広い分野での制作を行う人で展示されている作品はどれも印象的だ。

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