和泉さん自身は相談が来る前からこの建物を知っていた。以前、大谷資料館を訪れた際、カーブを曲がった瞬間に現れた建物のインパクトが大きく、思わず見とれてしまった経験があったのだ。廃墟となっていても不思議なパワーのある、目の離せない建物だった。
依頼を受けて実際に訪れてみるとガラスは全部割れており、風呂場はどこまでが内で、どこからが外かがわからない状態。室内は不法侵入した人たちが残した落書きだらけで、宴会場の畳、風呂場の木部などはすべて朽ちていた。
歴史を感じる建物として再生
一方で室内に岩を取り込んだ、今ではできないだろう力強いデザインは健在で風呂場の岩、タイルなども同様。そこで建物は引き算を多く、足し算はあまりしないというやり方で再生していくことになった。
「再生計画がスタートしてから最初の10カ月は月に2回ほどの行政との協議が必要でした。立地するのが市街化調整区域で新築を建てるためには開発許可がいる、要件を厳しくチェックされる地域だったためです。
この建物は既存ではあるものの、用途変更には確認申請が必要。それにあたり、幸い建築時の確認申請はあったものの図面がなかった。そこで図面を作り直し、当時と違う箇所については事情を説明、用途変更を申請して認められました」(和泉さん)


















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