「壊すしかない」と言われ続けた"岩に抱きつく廃墟"、大逆転の再生物語。廃墟好きが「栃木のマヤカン」と呼んだ施設は今

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

和泉さん自身は相談が来る前からこの建物を知っていた。以前、大谷資料館を訪れた際、カーブを曲がった瞬間に現れた建物のインパクトが大きく、思わず見とれてしまった経験があったのだ。廃墟となっていても不思議なパワーのある、目の離せない建物だった。

改修前の様子
現在カフェになっているフロア。改修前は窓ガラスがすでになかった(写真:大谷グランド・センター)
改修前の様子
木部は劣化、ぼろぼろになっていた(写真:大谷グランド・センター)

依頼を受けて実際に訪れてみるとガラスは全部割れており、風呂場はどこまでが内で、どこからが外かがわからない状態。室内は不法侵入した人たちが残した落書きだらけで、宴会場の畳、風呂場の木部などはすべて朽ちていた。

歴史を感じる建物として再生

一方で室内に岩を取り込んだ、今ではできないだろう力強いデザインは健在で風呂場の岩、タイルなども同様。そこで建物は引き算を多く、足し算はあまりしないというやり方で再生していくことになった。

改修前の浴場フロア
改修前の浴場フロア。壁で仕切られていたようで、内装にも大谷石が使われていた(写真:大谷グランド・センター)
改修前の様子
現在はカフェフロアになっているスペース、改修前の荒れた様子。右手の岩のある部分は現在、テラス席になっている(写真:大谷グランド・センター)

「再生計画がスタートしてから最初の10カ月は月に2回ほどの行政との協議が必要でした。立地するのが市街化調整区域で新築を建てるためには開発許可がいる、要件を厳しくチェックされる地域だったためです。

この建物は既存ではあるものの、用途変更には確認申請が必要。それにあたり、幸い建築時の確認申請はあったものの図面がなかった。そこで図面を作り直し、当時と違う箇所については事情を説明、用途変更を申請して認められました」(和泉さん)

改修前の階段
改修前の階段。壁などは現在もあまり変わらない状態で使われている(写真:大谷グランド・センター)
次ページアーティストの活動拠点にしたかったが…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事