福岡「冷泉荘」廃墟寸前の築67年賃貸が満室の理由 国の登録有形文化財にも

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このように、多彩な入居者によって「ひと・まち・文化が集まる」場となり、冷泉荘の独自の魅力はさらに高まっている。この取り組みをきっかけに、近隣のビンテージビルでも再生プロジェクトが生まれるなど、動きは広がりつつある。

「負債」から「地域の宝」へ価値転換を図る

「古い建物は負債ではなく、地域の宝・資産である。その意識を経済的メリットや法的裏付けとともに不動産オーナーへ根づかせていく。そのビルストック活用には大きな意義があります」(吉原さん)

階段
(写真撮影/中川千代美)

歴史ある古いビルを相続した場合、相続税が重荷となり、手放す・取り壊すという選択を迫られることも少なくない。しかし文化財登録されれば、土地と建物の相続税評価額が30%減額になる制度もある。

「もちろん、古いビルの維持管理は簡単ではありません。耐震の問題、用途変更に伴う消防法などの手続き……、放置すれば『法律違反のままの古い建物』になりかねない。でも、きちんと整備して運営することで『リノベーションビルは危ない』という誤解をなくし、魅力化できます。そのノウハウを伝えながら、価値ある建物を残していきたいですね」(吉原さん)

吉原さん、杉山さん
(写真撮影/中川千代美)

古い建物は「壊すべきもの」ではなく、未来のまちづくりの拠点となる「大切にすべきもの」。冷泉荘の再生が示したのは、まさにそのメッセージだ。

地方都市の活性化における再生モデルとして全国に影響を広げる「冷泉荘」をはじめとしたリノベーションの情報共有の活動の取り組み「九州DIYリノベWEEK」は国土交通省の「地域価値を共創する不動産業アワード」大賞を受賞、今では全国に知られることとなった。

変わる景色に価値があるように、変わらない景色にも価値がある。過去の技術と夢、現在の創造性とコミュニティ、未来への可能性をつなぎながら、「冷泉荘」は「築100年」へ向けて、生きた実験の場であり続ける。

吉原さん、杉山さん
(写真撮影/中川千代美)
●取材協力
リノベーションミュージアム 冷泉荘
フリーペーパー『月刊 冷泉荘』

取材・撮影・文/中川千代美

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『SUUMOジャーナル』編集部

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