福岡「冷泉荘」廃墟寸前の築67年賃貸が満室の理由 国の登録有形文化財にも

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この姿勢は、「ユニーク・最先端・開かれていること」という冷泉荘のテーマを体現するものでもある。杉山さんの存在が潤滑油となり、ビルの活気は高まり続けている。吉原さんも「杉山さんが『冷泉荘』を運営する姿自体、このビルが生み出したアートなんです」と語るほどだ。

杉山さん
吉原さんいわく「スーパー管理人」の杉山さん。イベント時には杉山さん自らツアーガイドとなって、冷泉荘の案内も行ってくれる(写真撮影/中川千代美)

冷泉荘の個性的な入居者たち

さて、そんな「冷泉荘」に入居する人たちも個性的だ。アーティストや文化人をはじめ、まちづくり系の組織や語学教室、ギャラリーなど幅広い。

A41号室にある博多人形師・田中勇気さんの「田中勇気博多人形工房」は、約10年と入居者のうちの古参の1人。9年間の修行ののち、自らの工房としてこの場所を選んだ。「この冷泉という歴史ある土地で、クリエイターに寛容な場所が生まれたことはとても幸福でした。私自身はもちろん、ここを訪れるお客様もこの建物をとても気に入ってくれているのが印象的です」と田中さん。

田中勇気さん
博多人形師・田中勇気さん。最近、工房内を改装し、博多人形に使う白いのり粉で壁を美しく塗り上げているそう(写真撮影/中川千代美)

B24号室「shoe lab noppo」も、同じく古参。部屋の中は落ち着いた工房の空間につくり上げられており、まさに職人の仕事場。

shoe lab noppo
靴の受注制作や靴作り教室も行っている「shoe lab noppo」(画像提供/「吉原住宅有限会社/スペースRデザイン」))

A10号室は、アートギャラリー「ネコチクラ」が入居。レンタルスペースになっており、異分野の作家さんたちの作品がズラリと並ぶ。さらに、企画展示も随時開催。

ネコチクラ
アートギャラリー「ネコチクラ」。ギャラリーの一角には、共同浴場だった壁のタイルを昔のままの姿で見ることができる場所も(写真右)(写真撮影/中川千代美)

「ネコチクラ」のお隣A11号室には、ベーグル専門店「RILL BAGEL」。国産小麦・天然塩・酵母・麦芽・水を使い、砂糖・乳製品・卵不使用のベーグルが人気のお店。

RILL BAGEL
「RILL BAGEL」の内観。落ち着いたカフェ空間のなかでベーグルやサンドイッチ、カフェメニューなどを楽しめる(写真撮影/中川千代美)

ちなみに、5階にあるB54号室には、住居時代のアパートの姿がそのまま残る「当初部屋」もある。

当初部屋
「当初部屋」で観覧できる、昭和レトロなアパートの雰囲気がそのまま残る部屋(写真撮影/中川千代美)
ユニットバス
草創期のものと思われるユニットバスは、入口がとても小さい(写真撮影/中川千代美)
よりあい読書室
1階にあるレンタルスペースの一つ「よりあい読書室」も、昔の部屋の内装が残されている。ゴロンと昼寝したくなる雰囲気(写真撮影/中川千代美)
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