福岡「冷泉荘」廃墟寸前の築67年賃貸が満室の理由 国の登録有形文化財にも

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「この裏外壁は、建てられた当初の姿を唯一残している場所なんです。何も変えずに残すことに大きな意味があると思います」(杉山さん)

裏外壁
裏外壁を下から見上げた様子。特殊なコーティング技術により、色も質感も昔のままで保たれている。各部屋から煙突も伸びているが、実際には使われていない(写真撮影/中川千代美)

こうして「冷泉荘」は、古いものを壊さず活かすという姿勢のもと、リノベーションによってビンテージビルとしての価値を高め続けてきた。2012年には「福岡都市景観賞・活動部門」部門賞を受賞、そして2024年には国登録有形文化財に登録され、その価値は広く認められている。

ビルの活気を高める「スーパー管理人」

現在も「冷泉荘」のテナント22室はほぼ満室状態。そしてこのビルを管理するのが「スーパー管理人」杉山さんだ。

もともとは大学の博士課程でアートやクリエイティブ系の分野を専攻した人物。自身も廃材で楽器をつくるクリエイターとして活動しながら、「冷泉荘」の管理やブランディングも行っている。

入居者さんたちのコラムなどを掲載している『月刊冷泉荘』というフリーペーパーを毎月発行したり、レンタルスペースの運営をしたり、オープンアパートイベント「れいぜん荘ピクニック」を開催したりと、さまざまな情報発信活動を実施している。

れいぜん荘ピクニック
毎年1~2回の頻度で開催されるオープンアパートイベント「れいぜん荘ピクニック」の様子。マーケットや各アトリエで開かれる入居者さん企画のイベント、「管理人解説付き冷泉荘ぐるっと一周ツアー」などを開催(画像提供/「吉原住宅有限会社/スペースRデザイン」)

「この管理人室は、『冷泉荘』の入口であり顔のような場所なので、この部屋をみたら『冷泉荘』がどんな場所かわかる、そんな空間を目指してつくり上げています」(杉山さん)

冷泉荘事務局
管理人室である「冷泉荘事務局」はこんな雰囲気。アートでジャンクな空間の中に、杉山さんの作品である廃材楽器たちも(写真撮影/中川千代美)

同時に、入居者に対しても訪問してくるお客様に対しても、ここを「開かれた空間」にするよう努めていると語る杉山さん。

「『管理人』というよりも、『1人の入居者』というスタンスでいるようにしています。管理室を自分のアトリエのように公開しているのも、その方針の一つです。入居者にとって『管理会社の人』という敷居を下げ、気軽に相談できる程よい関係を築けるような雰囲気をつくりたいんです」(杉山さん)

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