外国人・移民問題「放置すればフランスのようになる」は本当か、理想を掲げて本気で取り組んだが挫折した仏独

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イギリスでは流入したポーランド労働者をブレグジット(EUからの離脱)で追い出した結果、立ち行かなくなった製造業が廃業したりしている。ヨーロッパ先進国は今でも外国人労働者は必要とされている。

日本独特の外国人受け入れのメリット、デメリット

宗教や価値観の対立が表面化しにくい日本では、同化政策は存在しない一方で、在日外国人の多くが事実上の暗黙の同化圧力を強く感じているとされている。

明確な定義はないが「あの人はオーストラリア人だが、すっかり日本人になった」という話も聞く。日本人になるには国籍取得だけでなく、見えないルールとしての「空気を読む」能力、場の雰囲気を理解し、コミュニケーションを円滑にする能力、礼儀と謙虚さ、集団の秩序と和を重んじる姿勢、高い衛生観念、不条理を感情的にならずに受け入れ、時間と公共のルールを遵守することが求められる。

つまり、日本人として外国出身者を受ける入れるハードルは極めて高く、日本に入国してから学ぶには困難が多い。そもそもアジアの新興国、途上国の順法意識は低く、信号無視、車の逆走も日常の国が少なくないが、日本も公衆道徳は劣化しているため、首をかしげる外国人もいる。 日本人になる精神面の条件は、容易に体得できないので、結果的に外国人との軋轢は容易には解消しない。

外国人にとっては同化を制度上迫ってはいないが、同化を前提とする社会が日本には存在している。そのため日本人として振る舞えない外国人は孤立感を味わう。積極的差別はなくとも消極的な排他的態度を感じる外国人は多い。

筆者はフランスに30年以上前から住み、孤立感を味わったことはない。日本人の中には日本人として自分の文脈(コンテクスト)をフランスで当てはめられずにうつ病に陥る人もいるが、フランスは日本ほど目に見えない常識は存在しない。

その中でイスラム教徒のように宗教的価値観や習慣の中だけで生きる移民は孤立感を味わうが、今の移民2世、3世は権利を主張し、自分を守る術を心得ている。とはいえ在仏イスラム教徒に聞けば、差別を感じない日はないと答える人は少なくない。

日本モデルの大きな違いは、キリスト教を背景に持つ欧米諸国では、自分たちの信じる寛容さや平等性、人権を普遍化していることだ。そこへの同化を求めているが、日本は道徳的高さや順法意識が強いこと、和をもって尊ぶ精神や対立を嫌う精神を普遍化し、外国人に押し付ける意志は弱い。それは国内の掟として守ってほしいだけで、世界中に当てはめる意図はない。それにアジア諸国の人々の多くは政府を信用していない。

それにもかかわらず、国内では異なる考えを許容したくない日本人は、決められた日にゴミ出ししない外国人を非難し、信号無視、逆走する外国人、夜中に宿泊先で大声を出して騒ぐ外国人旅行者を嫌悪する。そもそも外国の文化慣習に興味のない日本人にとって、自分たちの常識が世界とは異なることを知らない人は圧倒的に多い。

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