外国人・移民問題「放置すればフランスのようになる」は本当か、理想を掲げて本気で取り組んだが挫折した仏独

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にもかかわらず、交通法規を無視した運転や窃盗、麻薬密売などの日常化、貧困、社会的分断、および治安問題が複合的に絡み合い、都市部を中心に荒廃がすすみ、阻止しにくいホームグロウンのテロリストが急増し、教師の殺害など単独犯のテロが増えている。

日本とは決定的に異なる欧米の移民政策

そもそも日本には「移民」という言葉は法的に存在しない。同時に、例えばアメリカ、カナダ、オーストラリアのような移民で成り立つ多文化共生を国是とする国家のような、守るべき国家憲章も日本には存在しない。

また、ヨーロッパのような共和主義や政教分離などの移民同化政策もない。同化政策は国家が持つ価値観や規範にすべての人が従うことだが、日本には国家や理念も明文化されていない。

フランスで発生した分離主義は、政府が進めてきた同化政策への反発から起きたもので、穏健なイスラム教徒に話を聞いても、政府がいう同化政策を可能と考える人はほとんどいなかった。

自由・平等・友愛の理念に基づく、法の下の平等、主権国民、国民国家の統合力と公共性、政教分離の原則という明文化された共和主義からすれば、分離主義が主張するような民族的、宗教的分権化はまったく真逆だ。

日本は、国家が価値を定義していないし、価値観の強制としての同化も排除も要求していない。単一民族の圧倒的国家観によって、外国人居住者は一時的定住しているとしか認識されていないため、法制化もされていない。フランスは国家を挙げて移民問題に取り組んだ結果がテロの頻発につながった挫折感は大きい。

最近、問題が表面化している外国人のゴミ出し問題、外国人が取得したマンションでの一方的家賃の値上げや立ち退き命令、急増した外国人住民が形成する地域で日本的慣習の変更や、スパイの潜伏などを取り締まる法整備はまったくできていない。

移民政策も同化政策も存在しない日本で、唯一あるのは在留資格で国外追放の大半は入管難民法違反(不法滞在や不法就労)だけだったが、今までは機能してきた。

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