外国人・移民問題「放置すればフランスのようになる」は本当か、理想を掲げて本気で取り組んだが挫折した仏独

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その中でイスラム教を信じるアラブ移民が急増したのは、旧植民地の北アフリカ・アルジェリアの独立戦争後の1960年代にフランスに流れ込んだアルジェリア移民だった。彼らはアルジェリア戦争でフランス側兵士として戦ったアルジェリア人で、フランスは彼らを受け入れ、労働者不足を補った。

ところが独立後、政治の不安定が続く中、移民流入は止まらなかった。マグレブ諸国(リビアやチュニジア、アルジェリア、モロッコなど北西アフリカ諸国の総称)、とくにモロッコ、チュニジアからの移民も増えた。

フランスには現在、総人口の1割を占める600万人の欧州最大規模のアラブ系移民社会が存在し、イスラム教徒も500万人を数える。今は2世、3世が主流だが、フランスではフランスで生まれた人間は法的に移民としての認定はなく、フランス人として市民権を持っている。

フランスの人口1割がアラブ系移民

結果的に移民2世、3世には、出身国の文化や習慣を受け継いでいても、フランス人としての自覚が最も強い。彼らは今、フランスの掲げる共和主義や政教分離などの価値観は受け入れないものの、フランス人としての平等の権利を主張する。

さらに聖戦主義過激派はフランスへの同化を拒み、フランスに伝統的共和主義のフランスとイスラム国家をめざすアラブ陣営を分離する分離主義が台頭し始めている。

分離主義者はテロもいとわないので、当然、フランス政府は取り締まりに躍起だ。しかし筆者が取材し始めた30年前と異なり、アラブ系住民の態度は明らかに自己主張を強め、危険な状態にある。

ヨーロッパは戦争によって8世紀以降、800年間にわたりイベリア半島がイスラム勢力に支配された歴史を持つ。今は戦争ではなく、移民たちが内側からイスラム革命を起こそうとしているという見方もある。

かつて難民・移民として受け入れられた人々が、当初は人間扱いもされなかったのにもかかわらず、今では平等の権利を主張するだけでなく、同化をあからさまに拒んでいる。ただ、フランス側も移民受け入れに本腰を入れて取り組んできた。各自治体には住宅探しに困窮する移民を対象にサービスを行う担当者がいるし、無料のフランス語研修は長年実施されてきた。

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