外国人・移民問題「放置すればフランスのようになる」は本当か、理想を掲げて本気で取り組んだが挫折した仏独
つまり、異文化の背景を持つ外国人の受け入れには、さまざまなハードルがあるわけで、議論の中身を見ると欧米では、結果的に自国のアイデンティティ強化以外に解決の道がないことが見えてくる。
フランスでは2019年に発生したパリ・ノートルダム大聖堂の大火災以降、大都市の若者を中心にカトリック教会は復興し、2025年4月の復活祭には成人の洗礼者が1万7800人となり、前年の45%増となった。
パリ中心部シテ島にあるノートルダム大聖堂は、パリのみならずフランスを象徴し、パリの紋章に刻まれた「たゆたえど沈まず」にあるように、どんな風雨(試練)にも耐えて生き残るフランスを象徴する存在だ。若者を含む多くの見物人は涙を流しながら尖塔が崩れさるのを見守った。同時に聖堂再建への強い思いは、イスラム教の脅威の中でカトリック信仰の再生にもつながった。
移民受け入れの厳格化
右傾化が明白なフランスは、極右政党・国民連合やレコンキスタ党への支持が上昇中だ。彼らは反伝統、反保守で極端に左傾化した政治を右旋回させようとしている。フランスの移民政策は、2026年1月より長期滞在許可に「市民試験(歴史・文化・価値観)」の合格を必須化するなど、同化重視かつ流入抑制へ厳格化した。移民によってフランスがフランスでなくなることを防ぐのが目的だ。
2025年5月に発表した英国の移民白書では、海外からの介護職の採用禁止、熟練労働者ビザ(査証)の取得要件の厳格化などの措置を発表し、過去最高水準に近い純移民数の抑制を目指すとした。また、すべての就労ビザにおける英語能力要件を引き上げた。
約10年前に100万人の中東難民を受け入れたドイツでは、移民排撃の極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)が国会の第2勢力となり、世論調査では移民政策の厳格化はメルツ現政権の最重要課題のトップだ。
AfDの主張は「中東やアフリカからドイツを目指す人の多くは、迫害から逃れることが理由ではなく、ドイツの手厚い社会保障サービスを受給するためだ」というものだ。
一方、労働市場の観点からは、イギリス、フランス、ドイツだけでなく、オランダや北欧でも移民政策の厳格化にかかるコストの上昇は、人不足に苦しむ多くの企業にとっては、労働力確保にブレーキをかけるとの批判もある。ドイツなどはギルト制度で職業訓練が充実しており、そのレールに乗ってドイツ企業で活躍するシリア移民は少なくない。彼らを治安悪化の温床として排除するのは短絡的と言える。


















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