未来工業にはコピー機が1台しかないうえに、ムダなコピーを防ぐための「お約束事」がたくさんある。選りすぐりの「ベスト3」は、以下のとおりだ。
そこまでやるか!「無用コピー対策」ベスト3
輪転機とは昭和時代の印刷機。未来工業の輪転機は、印刷する原紙を自分で手書きし、それにインクをしみ込ませて紙に印刷するものだ。
当然、簡単には使えないから、誰も50枚以上のコピーはしないという。上記の貼り紙と輪転機が、ムダなコピーを防ぐ無言の「圧力」なのだ。
これは昔の実話だ。10枚コピーして機械が止まると、社員は総務課へ行ってコイン1枚もらい、機械に入れないと、続けてコピーができなかった。
それが面倒くさい人は、コピーをそこで止めてしまう。それに、コインをもらいにいくと、総務課から「あなた、いったい何枚コピーをするつもりなんですか?」という痛々しい視線を浴びることになる。その両方が山田氏の狙いだったという。
未来工業では、社外に郵送する紙以外は「使用済みコピー紙の裏に印刷する」のがお約束のルール。
あるとき、会議書類の裏が真っ白だったことに気づいた山田氏は「おまえは、この会社をつぶす気か? 今度、この普通の紙を会議書類にしたら、クビにするぞ!」と叱ったという(もちろん「クビにするぞ!」は言葉のうえだけの話で、実際にクビにするわけでない)。
こうして見てくると、山田氏がムダなコピーを防ぐために、自ら創意工夫を重ねてきたことがわかる。しかし、上場企業の創業者が、コピー機1台にそこまで執念を燃やす理由は何なのか?
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