「楽園企業」のコピー機は10枚で自動停止? セコすぎるお約束を徹底する理由とは?

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以下、コピー機に関連する、山田氏の「ドケチ」名言を紹介しながら、彼の「ドケチ哲学」を探ってみたい。

「コスト意識」はコピー機の使い方に出る

1. 本社にコピー機が1台しかないからといって、社員がイライラして仕事が手に付かなくなり、会社が大混乱して、業績が低下したことは一度もないぞ

コピー機の話をすると、「コピー機の台数と業績は、本当に正比例するんか? 誰か調べたことがあるんか?」と、生前の山田氏は口癖のように話していた。

確かに、なんとなくの理由で「コピー機→あると便利→仕事がはかどる→業績に貢献」といった安直なイメージをもっているが、そこをきちんと検証したことはあるのだろうか。

実際、山田氏は「コピー機1台で増収増益」を実現することで、コピー機の台数と会社の業績が必ずしも正比例しないことを、自ら実証してみせたのだ。

それに、コピーが「いつでも、どこでも」できる環境には、次に記すように大きな「落とし穴」も潜んでいる。

2.「とりあえずコピー」「念のため、一応コピー」でやっていたら、いつまでたっても「コスト意識」が身につかんやろ?

山田氏にとってのコピー機は、パソコンやスマホ同様に「目の前にあればムダに使ってみたくなる」ものの代表例。コピー機がいつでもどこでも使える場所にあれば、「とりあえず、とっておこう」となりがちだ。

しかし、あなた自身を振り返っても、「とりあえずコピー」をとったものの、そのままゴミ箱に消えていった紙は、いったいどれほどあるだろうか? もしコンビニでコピーをとるように、会社のコピーが「自己負担」でも、本当に同じようなムダ使いをするだろうか?

3.コピー機は「会社のムダの象徴」と思わんか?

上で述べたように、「会社のムダ使い」「社員のムダ使い」が、いちばん端的に現れるのがコピー機だ、という。前回も紹介したが、「『小さな節約』をできない人間に『大きな節約』などできるはずがない」というのが、山田氏の考えだった。

仮に300人の社員が、1日1枚ずつムダなコピーを1年間くり返せば、何枚のムダになるだろうか? それに5秒使うとして、300人で1年間続けると、どれだけの時間と電気代のムダが積み上がるだろうか。それを10年、20年間くり返したら……。

「会社のムダ」をなくすとは、そんな小さな気づきと想像力、そして実践の反復。それが山田式「ドケチ哲学」の根幹だ。

「一見何気ない習慣にこそ、大きなムダを生む原因が隠されている」

その山田氏の言葉を胸に、一度、あなたの職場を見渡してみてはどうだろうか。「何気ない習慣」の中に、大きなムダを生み出す「原因」と、そのムダをなくす「答え」の両方が潜んでいるはずだ。

荒川 龍 ルポライター

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あらかわ りゅう / Ryu Arakawa

1963年、大阪府生まれ。『PRESIDENT Online』『潮』『AERA』などで執筆中。著書『レンタルお姉さん』(東洋経済新報社)は2007年にNHKドラマ『スロースタート』の原案となった。ほかの著書に『自分を生きる働き方』(学芸出版社刊)『抱きしめて看取る理由』(ワニブックスPLUS新書)などがある。

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