しかし、マレスカ監督には目的があるのではないかと考えるようになった。
若手に「練習をハードにしないとスタメンに名前を連ねることができず、交代メンバーとして試合に出場させてももらえず、出場しても15分しか機会がない」という感覚を植え付けるためではないか。そして自主的に、90分走り切る体力をつけるよう促したのではないか、と。
実際、チェルシーは2025年5月から突然、交代策をどんどん打つようになった。その結果、強豪揃いのFIFAクラブワールドカップ2025で初優勝を果たしたそうだ。
「我慢の時期が人を成長させると目の当たりにしました。だからやっぱり今、猿田彦珈琲は我慢してもいい時期だと思っています。ただ、2年後も同じかと言ったら、そうじゃないかもしれない」
やわらかな笑顔のなかで、一瞬眼光が鋭くなった。
8.7坪から始まった戦いは「まだ序盤戦」
同社は2024年、中小企業庁の「100億宣言」に選出されている。「100億宣言」は、中小企業庁が掲げる“成長志向の中小企業”の考え方に呼応し、売上100億円規模を一つの到達点として、自社の成長戦略と経営姿勢を社会に示す宣言だ。
猿田彦珈琲はそこで目標として「2029年までに年商100億円を目指す」と掲げている。現在の約34億円から、5年で3倍——。野心的な目標だ。我慢の時期という話と相反するのでは? と尋ねると、「お金が全てじゃないけど、お金がなさすぎるのもダメだよね」とニヤリ。
でも、やみくもに店舗拡大をするつもりはない。「いい場所からお話をいただいたら、きちんとやらせてもらう形で」と、あくまでも地道なスタイルを貫く。
売上高の割合は、店舗と物販が65%、飲食店など法人への豆の卸が約30%、残りの5%が監修ビジネスだ。店舗以外の収益にも力を入れていく。
2026年2月には兵庫県の西宮に出店し、2026年初春には京都への出店も控えている。よく耕され、栄養が整った土壌ができた先に、猿田彦珈琲はどんな景色を見るのか。
8.7坪から始まった戦いは、まだ序盤戦だ。「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」——15年前に掲げたコンセプトは、今もこれからも変わらない。
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