「ビッグ」の最たるものは、2012年から継続して挑戦し続けている世界的なコーヒーの競技会だ。国内で開催されるJBCでは、2024年に優勝、2025年は準優勝。WBCでは、2025年に世界5位に輝いている。
投資は、毎年数千万円規模に登る。2025年もカナダからコーチを2人招き、WBCの会場であるイタリア・ミラノに選抜メンバー15人で渡航した。
豆も機材も、高価なものを惜しみなく購入して使う。驚くことに、その采配はチームに任されているそうだ。世界最高峰を目指すなら、日々革新される味と技術に追いつくためのスピードが重要となるからだ。
「そうやって信頼できる人たちに投資していくのも社長の役目です。彼らが求める機械設備を買ったり、トレーニングルームを作ったり、彼らが欲しいっていう希少な豆を買い付けに行ったりしています。まあ、買っちゃダメって言っても既に買う約束をしているときもあるんですが(笑)」。
その成果は確実に出ている。WBCはもちろんだが、ラテアートの技術を競う、「ジャパン ラテアート チャンピオンシップ(以下、JLAC)」でも2019年から5回連続優勝しており、「ワールド ラテアート チャンピオンシップ(以下、WLAC)」では2025年、準優勝を果たした。
「WLACはチームメンバーが4人と少ないのですが、技術力が高く、ホスピタリティあふれたチームワークに、海外の大会に行くと必ず『アメージングチーム!』と驚かれます。そうやって徐々に徐々に成績が上がってきて、いずれ世界タイトルが取れる日が来るだろうと信じて取り組んでいます」
競技に命がけで取り組むからこそ
成果が出る理由の根本は、前編で書いたように、猿田彦珈琲が「利他的な組織」であることが大きいという。
競技者同士が技術をお互いに教え合って、どんどん高まっていくからだ。大会では1ミリ2ミリの差が勝敗に影響する。けれど、その1ミリのレベルを上げるのが難しい。しかし、利他的な組織であれば、相互作用でどんどん急スピードで上がっていける。
「人間性がいいほうが伸びますよっていうのが、僕なりの哲学です」
だから、国際大会ですでに成果を上げている人をヘッドハンティングすることは絶対にしない。一から自社内で、利他やホスピタリティの精神も含めて育てる。
けれど、そこまでしていても負けることはある。
「WBC5位は僕らにとっては負けです。負けた日は苦しかったですね。命をかけて挑んでいるつもりなので」


















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