クルーグマン氏「テロへの恐れが最大の危険」 パニクる西側諸国が今すべきこととは

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 テロは世界にある危険の一つに過ぎない。だから、テロのために他の問題から目をそらすべきではない。保守派のみなさんには悪いが、オバマ大統領が「気候変動は我々が直面する最大の脅威である」と表現する時、彼は本当に正しい。テロリズムが我々の文明を破壊することはないし、できないだろう。しかし、地球温暖化が文明を破壊する可能性はあるし、そうなるかもしれない。

「トレードオフ」のバランスを見直すべき

 では、テロへの対応については、どう考えればいいだろうか。パリで残虐行為が起こる前には、西側の全般的な対応は取り締まり、予防策、軍事行動が混ざったものだった。そのどれにも難しいトレードオフがあった。監視かプライバシーの重視か、国の防御か移動の自由か、テロリストの巣窟の否定か海外での戦争遂行のコストと危険性か。そして、時にはテロリストが網の目をくぐり抜けることも常に明らかだった。

 パリはこのトレードオフのバランスを少し変えたかもしれない。特に、欧州での難民の扱いという、困難さが今日さらに増している問題に関しては。加えて、なぜこのような入念な策略に気付かなかったのかという点も、後日検証されなければならない。しかし、「9・11がすべてを変えるだろう」と、至る所で言われたことを覚えているだろうか。結局、すべてを変えることはなかった。今回のパリの残虐行為でも同じだろう。

 もう一度言おう。テロリストの目標は、恐怖を引き起こすことだ。なぜなら、彼らができるのはそれだけだから。そして、我々の社会がそれに対してできることの中で最も重要なのは、恐怖に屈するのを拒むことだ。

(執筆:Paul Krugmanプリンストン大学教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授、翻訳:東方雅美)
 

© 2015 New York Times News Service
 

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