年初来高値の2万0952円に近づいてきた 日経平均は2007年以来の8連続陽線が出現

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17日の日経平均は大幅反発。半旗を掲げた米国市場もダウ平均が大幅上昇。地政学リスクを感じない動きをみせている(写真:AP/アフロ)

11月17日の日経平均株価は大幅反発となりました。欧米市場でフランス同時テロによる株式市場への悪影響が警戒されましたが、週明け16日の200円安も先週末の欧米株の下落で説明がつく範囲。欧米市場ともに影響は限定的でした。というか、米国市場に至ってはダウ平均が200ドルを超える上昇となるなど、地政学リスクをまったく感じさせない動きでした。株価はしょせん景気の鏡です。一部の地域で起きたテロが経済に及ぼす影は誰にもわかりません。年末に向けての株高に一層確信が持てる動きだったとみています。

市場は2四半期連続GDPマイナスも消化

16日に発表された国内の7-9月期実質GDP(国内総生産)成長率は、直前に市場で予想されていたマイナス0.2%(前期比年率)に対してマイナス0.8%の着地。2四半期連続のマイナスとなりました。個人消費や住宅投資は堅調でしたが、在庫や設備投資の減少などが主な下押し要因です。しかし、東京市場は決してネガティブではありませんでした。19日に判明する日銀金融政策決定会合の結果を控えているだけに、追加金融緩和への思惑なども下値を支える要因になったようです。ただ、各国のマーケットがテロへの耐性示す動きになったことで、雰囲気的には前回に続いて追加金融緩和を実施することはないでしょう。

一方、欧州中央銀行(ECB)にとっては、物価や景気の下振れリスク以外に追加金融緩和を実施する理由が1つ増えるかたちとなりました。ユーロ相場は現在、トレンドはどちらかというと下落基調にあります。欧州景気の減速を先取りする動きだと筆者は予想していますが、さらにテロの脅威が広がれば、ある程度のダメージは懸念されるところです。なだらかなユーロ安を容認する形でも景気を支えないといけないため、はやりECBによる12月の追加緩和はあると思われます。

株式や為替の売買をされる方はご存知だと思いますが、チャートは一般的にはローソク足が使われています。日足ですと、当日の4本値(始値・高値・安値・終値)を使ってローソクの形で表したチャートです。4本値のうち、当日の終値が始値よりも高ければ「陽線」、逆に終値が始値よりも安ければ「陰線」といいます。上昇相場では「陽線」が多くなる反面、下落相場では「陰線」が多くなる傾向があります。一般的には「陽線」は強気、「陰線」は弱気を示します。そこで、日経平均株価の現在の状況をローソク足で簡単にお話したいと思います。実は、11月5日から16日までの8日間で「陽線」が続きました。17日はわずか11円足らずで9陽連を逃してしまいましたが、8陽連でも過去にそんなに数多くある記録ではありません。いちばん直近でも2007年6月22日までの8日間以来となります。

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