つまり、自分が依存している人気も、その基礎(もともと危ういが)さえも崩れようとしているのである。さらに言えば、トランプ大統領が失速することは誰の目にも明らかだった。行き詰まってくれば、彼はさらに横暴になり、評判がさらに落ちることは明白だった。同盟国こそ、自分の言うことを聞く、子分以外に自分の言うことを聞く人がいなくなったら、子分を徹底的にやっつけて憂さを晴らすか、巻き上げるか、ということになるのは自然なのである。
さて、なぜ、こんなにもリスクに鈍感なのだろうか。トランプ大統領と高市首相の個性の差であろうか。個人的な問題であれば、ここでここまであげつらうことはない。しかし、私が心配しているのは、これは日本全体の傾向なのではないか、日本人全員がリスクに鈍感なのではないか、ということである。
なぜなら、もっとリスクに鈍感な組織を見つけてしまったからである。しかも、それは、もっともリスクに敏感であるべき組織である。そう。それは日銀である。
ほぼ日銀だけが共同声明に参加しなかった
驚愕すべきことに、トランプ大統領がジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長と、FRBに圧力をあまりに加え続けたために、ついに我慢強いパウエル議長も堪忍袋の緒が切れて、2分弱のビデオメッセージを、アメリカの中央銀行にあたるFEDのサイトで発表した。
「トランプ大統領の圧力を正面から批判し、米国民のためにだけ働く」と宣言したのだ。これに、世界中の中央銀行は全力で賛同し、共同声明を発表した。ほぼ世界中の主だった中央銀行が名を連ねた。ECB(欧州中央銀行)、イギリス、カナダに加え、ブラジル、韓国でさえも参加した。それなのに、日銀は参加しなかった。
私は失望すると同時に、彼らはリスクになんと鈍感なのか、と驚愕した。つまり、これは高市首相がトランプ大統領にべったりであるために、忖度して、賛同を躊躇したのだろうが、そうすると、むしろ、忖度していると疑われて、独立性がないと批判され、長期金利が上昇し、金融政策が追い込まれ、高市政権にとっても苦しいことになる、というのは誰にでも予想できる。明らかに「明日以降のリスクが高まることには目をつぶって、今日のちっちゃなリスク(高市政権の気分を害するリスク)」を避けた。あり得ないリスク判断だ、と日本の当局に絶望していたのである。


















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