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「まったく必要なかった高市解散」「やるべきでなかった日銀の政権への忖度」…「日本の真のリスク」はどこにあるのか

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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それは、リスクに対する感覚が天才的なトランプ大統領に対して、高市首相は徹底的に鈍感であることだ。トランプ大統領は自滅循環に入ってしまったとはいえ、そのリスクに値するものを得てきた。これまでにとことんやりたいことをやりまくったのだから、少なくとも1年間は興奮を味わうことはできた。また、現在、不利な状況に陥ったのだから、ギャンブルに出るのは戦略的行動としてありうる選択肢だ。

さらす必要のないリスクに、自らをさらした高市首相

一方、高市首相は、支持率が絶頂にもかかわらず、まだ何もできていない。「178万円の壁」だとか、ガソリンの暫定税率廃止だとか、もともとは野党が提案していた政策を、代わりに働いて実現してあげただけだ。そして、絶頂の支持率による権力を、さらす必要のないリスクに、あえて自らさらした。

これでは、2月8日の衆議院選挙で自民党が単独過半数を取れなければ、一気に党内での力も失うし、国民の支持率も下がってしまうだろう。それよりも何よりも、解散総選挙に打って出ることで、自ら、支持率を低下させてしまった。これは解散すればそうなることは誰の目にも明らかだったのに、そして、誰も頼んでいないのに、やってしまった。

しかも、万が一単独過半数をとったとしても、むしろその後は、権力を失う。なぜなら、積極財政に賛成なのは、自民党内よりも野党だからだし、単独過半数を確保すれば、何も嫌いな高市首相のいうことを聞き続ける必要はなく、これまでの自民党の秩序、党内序列に戻ってしまう。

さらに安倍晋三元首相のように、もともと人望があるわけでもなく、官房長官時代の菅義偉元首相という相棒がいるわけでもなく、安倍チルドレンというような安倍氏のおかげで当選した新人議員が多数出てくるわけでもなく、一時冷や飯を食った、それでも自分が選挙に勝ったのは自分の力だとしか思わない元議員が戻ってくるだけだ。そして、参議院では少数与党のままだから、開き直って自分の政策を好き勝手にやることもできない。

したがって、現状以上に、高市首相が権力を持つことはできない、逆に言えば、現状は彼女にとって最高の状態だったのに、それを自ら壊してしまったのだ。ノーメリットでリスクだけ大幅増加させた解散なのである。

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【選挙後のリスクも急膨張してしまった】

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