東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場

「まったく必要なかった高市解散」「やるべきでなかった日銀の政権への忖度」…「日本の真のリスク」はどこにあるのか

12分で読める
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
2/7 PAGES
3/7 PAGES
4/7 PAGES
5/7 PAGES

わかっているX氏と、「リスクを取らないリスクがある」などとのたまう人の差は、リスクというものをわかっているかいないか、リスクに敏感か否か、ということである。日本企業がリスクを回避するのは、リスクのにおいをかぎ分けることができない、リスクに敏感なのではなく、鈍感すぎて、どれが本当のリスクかわからないので、すべてから逃げているだけなのである。

だから、いったん投資をするとなると無謀にリスクを取り、かつてのシャープや東芝のように、不用意に「社運を賭けて」リスクを取りすぎてしまうのである。そして、リスクを取りすぎているのに、どの部分が真のリスクか、においをかぎ分けられないのであたふたするのである。

リスクをやむを得ず取ろうとするときは、どれがリスクがわかっている。だから、リスクへの準備ができるし、ある程度のコントロール手段も用意できるのである。だからリスクでなくなる。一方、リスクを完全に排除しようとすると、すべての可能性がリスクに見えてしまう。真のリスクを見分けてない、かぎ分けていない、すべてまとめて除去しようとしてしまう。その結果、おいしいところも除去してしまう。リターンがなくなってしまう。それこそがリスクなのである。

リスクシナリオが実現し始めた

飲食料品の消費税をゼロにすることを検討して、野党に完勝しようとした。政策論争になるリスクを排除しようとした。高市人気だけの勝負になるようにしようとした。しかし、この海千山千の政治家たちの中で、それを一人でやろうとするのは無理がある。

そして、それ以上に、気まぐれな国民のムード、高市人気とは、なんとなくの雰囲気、ムードに流されているだけであるから、これほど危ういものはないのである。それに頼ろうとしたために、それは解散宣言で逃げ始めたのである。リスクシナリオが実現し始めたのである。

さらに、高市人気は、あの手ごわいトランプとうまくやった、ということで拍車がかかった。トランプの訪日で、うまく媚びを売って、トランプ危機を切り抜けたことで人気が確立したのである。しかし、今や、グリーンランド問題で、欧州ではトランプ大統領と仲がいいというだけで、敵視される。まもなく日本でもそうなるだろう。

次ページが続きます:
【「日本人全体がリスクに鈍感」という疑念】

6/7 PAGES
7/7 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象